スマートフォンを充電器の上に置くだけで、
充電端子を接続せずに充電できるのが
ワイヤレス充電です。
製品の仕様表やパッケージには、
「Qi対応」と書かれていることがあります。
Qiとワイヤレス充電は
同じ意味で使われることもありますが、
正確には異なります。
ワイヤレス充電は充電方式の総称で、
Qiはその中で使われる規格です。
この記事では、
Qiがどのような規格なのか、
ワイヤレス充電との違いや仕組み、
対応条件と確認方法を順に説明します。
Qiとは?ワイヤレス充電との違い
Qiは「チー」と読みます。
Wireless Power Consortium
(ワイヤレス・パワー・コンソーシアム/WPC)が
策定・管理しているワイヤレス充電規格です。
ワイヤレス充電が、
充電器と機器をケーブルで直接つながずに
充電する方法全体を指すのに対し、
Qiは異なる製品同士を組み合わせるための
共通ルールを指します。
Qiでは電力の送り方や安全機能が決められている
Qiで決められているのは、
充電器から機器へ電力を送る方法だけではありません。
- 充電器と機器が通信する方法
- 機器に合わせて出力を調整する方法
- 金属などの異物を検知する仕組み
- 異常が起きたときに充電を止める条件
充電器が一方的に電力を送り続けるのではなく、
機器側の状態や要求に合わせて
送る電力を調整します。
この共通ルールがあるため、
Qi対応のスマートフォンとQi対応充電器は、
メーカーが異なっていても
基本的に組み合わせて使えます。
スマートフォンのワイヤレス充電はQi系が中心
ワイヤレス充電には、
Qi以外の方法もあります。
たとえば磁界共鳴方式は、
送電側と受電側を同じ周波数で共鳴させ、
電力を送る方法です。
置く位置や送電距離に
ある程度の余裕を持たせやすい一方、
広く普及しているスマートフォンでは
主流ではありません。
RF方式もあります。
RFは「Radio Frequency」の略で、
電波を使って電力を送る方法です。
RF方式は、
離れた機器へ小さな電力を送る用途に向いており、
主にセンサーやIoT機器などに使われます。
このような方法もありますが、
現在広く使われているスマートフォンの
ワイヤレス充電はQi系が中心です。
「ワイヤレス充電対応」と書かれたスマートフォンも多い
スマートフォンの商品ページでは、
「Qi対応」ではなく、
「ワイヤレス充電対応」とだけ
書かれていることがあります。
現在流通しているスマートフォンでは
Qi系が広く採用されているため、
この表記でもQi充電器を使える製品は多くあります。
購入前に組み合わせを確認するときは、
詳しい仕様表や取扱説明書にある
「Qi」または「Qi2」の記載を確認します。
Qi認証製品は規格への適合が確認されている
正式なQi認証を受けるには、
安全性や電力効率、
異なる製品同士で正しく動くかを
確認する試験に合格する必要があります。
正式なQi認証を受けた充電器と機器は、
メーカーが異なっていても
基本的に組み合わせて使えます。
ただし、充電出力は
双方の対応範囲によって変わります。
製品が正式な認証を受けているかは、
WPCの認証製品データベースで確認できます。
Qi対応ならどの充電器でも使える?
スマートフォンと充電器の両方が
Qiに対応していれば、
メーカーが違っていても基本的に使えます。
ただし、Qi対応同士だからといって、
必ず同じ速さで充電できるわけではありません。
充電速度や安定性は、
対応出力、置く位置、ケース、
充電器へ供給する電力などで変わります。
スマートフォンと充電器の両方を確認する
まず確認するのは、
スマートフォンと充電器の対応状況です。
- スマートフォン:Qi対応
- 充電器:Qi対応
両方が対応していれば、
基本的に組み合わせて使えます。
スマートフォンの商品ページでは、
「Qi対応」ではなく、
「ワイヤレス充電対応」と
書かれていることもあります。
組み合わせを確実に確認するときは、
仕様表や取扱説明書で
「Qi」または「Qi2」の記載を確認します。
充電速度は対応するW数で変わる
充電器とスマートフォンでは、
対応する出力が違うことがあります。
出力はW(ワット)で表示され、
数字が大きいほど、
一定時間に送れる電力が大きくなります。
たとえば、
- 充電器:最大15W
- スマートフォン:最大5W
という組み合わせでは、
スマートフォンが受け取れる
最大5Wまでとなります。
反対に、
- 充電器:最大5W
- スマートフォン:最大15W
の場合も、
充電器が送れる最大5Wまでです。
充電器とスマートフォンで
対応出力が違う場合は、
低い側のW数が上限になります。
ただし、表示されているW数は
最大値です。
バッテリー残量や本体温度、
置く位置などによって、
実際の出力は低くなることがあります。
置く位置がずれると充電しにくい
充電器とスマートフォンの内部には、
電力を送受信するコイルがあります。
このコイル同士の位置がずれると、
電力がうまく伝わりません。
位置が合っていない場合は、
次のような症状が出ることがあります。
- 充電が始まらない
- すぐに充電が止まる
- 充電中と未充電を繰り返す
- 充電速度が遅くなる
- 本体や充電器が熱くなりやすい
充電が始まらないときは、
スマートフォンを少しずつ動かし、
充電表示が安定する位置に置き直します。
ケースを付けたまま使えるとは限らない
薄いケースであれば、
付けたまま充電できる製品もあります。
ただし、ケースが厚くなるほど、
充電器とスマートフォンの距離が広がり、
電力が伝わりにくくなります。
充電できない、途中で止まる、
発熱が大きい場合は、
一度ケースを外して確認します。
ケースを外すと正常に充電できる場合は、
ケースの厚さや材質が
影響している可能性があります。
充電器の上に物がないか確認する
充電器の上に硬貨や鍵を置いたまま、
その上からスマートフォンを置くと、
金属が間に挟まります。
金属が発熱したり、
異物検知によって充電が止まったりするため、
充電前に充電器の上を確認します。
充電器へ供給する電力も確認する
ワイヤレスになるのは、
充電器とスマートフォンの間です。
充電器自体には、
USBケーブルやACアダプターから
電力を供給する必要があります。
充電器が15Wに対応していても、
接続したACアダプターやケーブルの
供給能力が不足していれば、
本来の出力では充電できません。
必要なACアダプターやケーブルは、
充電器の仕様表や取扱説明書で確認します。
温度が高いと充電が遅くなることがある
スマートフォンや充電器の温度が高いと、
保護機能によって充電出力が下がったり、
充電が止まったりすることがあります。
特に、次のような場所や状態では
熱がこもりやすくなります。
- 厚いケースを付けている
- 布団やクッションの上で充電している
- 直射日光が当たっている
- 高温の車内で使っている
- 位置がずれたまま充電している
Qi対応同士なら基本的に使えますが、
充電速度や安定性は、
出力、位置、ケース、電源、温度によって変わります。
Qi対応かどうかはどこを見れば分かる?
Qi対応か確認するときは、
製品名や見た目ではなく、
メーカーが公開している仕様を見ます。
確認する場所は、
スマートフォンと充電器で少し異なります。
スマートフォンは仕様表や取扱説明書を見る
スマートフォン側は、
メーカーの商品ページにある仕様表や
取扱説明書を確認します。
次のような記載があれば、
Qi対応と判断できます。
- Qi対応
- Qiワイヤレス充電
- Qi2対応
商品説明では、
「ワイヤレス充電対応」とだけ
書かれていることもあります。
現在広く使われているスマートフォンでは
Qi系が中心ですが、
対応規格や最大出力まで確認するときは、
詳しい仕様表を見る必要があります。
充電器は本体表示やパッケージも確認する
充電器側は、
次の場所に対応規格が記載されています。
- 充電器本体
- 製品パッケージ
- メーカーの商品ページ
- 仕様表
- 取扱説明書
「Qi対応」や「Qi2対応」とあれば、
それぞれの規格に対応した充電器です。
本体の裏側や底面には、
入力や出力と一緒に
規格名が記載されている場合もあります。
QiとQi2は規格の世代が異なる
Qi2は、Qiをもとに作られた
新しい世代のワイヤレス充電規格です。
磁石を使って機器と充電器の位置を合わせる
仕組みが加わっており、
コイルの位置ずれを抑えやすくなっています。
Qi2対応製品では、
磁石を使って機器と充電器の位置を合わせます。
ただし、「Qi2 Ready」対応のスマートフォンは、
指定された対応ケースと組み合わせることで
Qi2として使用する製品です。
QiとQi2では、
対応する機能や出力が異なる場合があります。
購入するときは規格名だけでなく、
スマートフォンと充電器が対応する
最大出力も確認します。
Qi Certifiedは認証を受けたことを示す
「Qi Certified」は、
Qiとは別の充電規格ではありません。
WPCが定めた試験を受け、
Qi規格への適合が確認された製品を示します。
つまり、
- Qi・Qi2:対応している規格
- Qi Certified:正式な認証を受けた製品
という違いです。
認証状況を詳しく確認したい場合は、
WPCの認証製品データベースから
製品名や型番を検索できます。
英語表記だけではQiと決められない場合がある
製品によっては、
次のような英語表記が使われます。
- Wireless Charging
- Inductive Charging
Wireless Chargingは
ワイヤレス充電全体を表す言葉です。
Inductive Chargingは、
電磁誘導を使った充電を表します。
どちらもQiだけを指す表現ではないため、
Qi対応を確実に確認するときは、
仕様表にある「Qi」または「Qi2」の
記載を見ます。
スマートフォンと充電器の両方で
同じ規格への対応を確認すると、
組み合わせられるか判断しやすくなります。
Qi充電できない・遅い・途中で止まるときは?
Qi対応のスマートフォンと充電器でも、
置き方や電源、温度などの影響で
充電が安定しないことがあります。
症状ごとの原因を見る前に、
まず次の項目を確認します。
最初に確認すること
- スマートフォンの位置を置き直す
- ケースを外して試す
- 充電器に電力が供給されているか確認する
- 本体や充電器が熱くなっていないか確認する
- 充電器の上に硬貨や鍵がないか確認する
置く位置がずれていると、
充電器側とスマートフォン側のコイルが合わず、
電力が伝わりにくくなります。
ケースが厚い場合も、
コイル同士の距離が広がるため、
充電できない原因になります。
充電器へ接続している
USBケーブルやACアダプターの能力が足りないと、
充電が始まらなかったり、
本来の出力が出なかったりします。
充電が始まらない場合
共通項目を確認しても
充電表示が出ない場合は、
スマートフォンと充電器の対応状況を確認します。
- スマートフォンがQiに対応しているか
- 充電器がQiに対応しているか
- 充電器の電源ランプや表示が正常か
両方がQi対応で、
電源や置く位置にも問題がない場合は、
スマートフォンまたは充電器の
不具合も考えられます。
別のQi対応機器や充電器があれば、
組み合わせを変えると
どちら側に問題があるか確認できます。
充電が遅い場合
充電速度は、
スマートフォンと充電器の
対応出力によって変わります。
たとえば、
- 充電器:最大15W
- スマートフォン:最大5W
なら、充電出力の上限は
スマートフォン側の5Wです。
反対に、
- 充電器:最大5W
- スマートフォン:最大15W
の場合も、
充電器側の5Wが上限になります。
対応出力が異なる場合は、
低い側のW数が上限です。
ただし、「最大15W」などの表示は、
常にその出力で充電されるという意味ではありません。
バッテリー残量や本体温度などにより、
実際の出力が下がることがあります。
途中で止まる・停止を繰り返す場合
充電が始まっても途中で止まる場合は、
送電状態が安定していない可能性があります。
特に多いのは、
スマートフォンの位置ずれや
温度上昇による停止です。
充電表示が付いたり消えたりするときは、
充電器を平らで硬い場所へ置き、
スマートフォンが動かない位置に調整します。
本体や充電器が熱い場合は、
一度充電を止めて冷ましてから
もう一度試します。
位置や温度に問題がない場合は、
USBケーブルやACアダプターの接触不良、
電力不足も確認します。
発熱が大きい場合
ワイヤレス充電では、
電力の一部が熱に変わるため、
スマートフォンや充電器が
温かくなることがあります。
軽い温度上昇だけであれば、
すぐに異常とは判断できません。
ただし、次の状態では
充電を続けないでください。
- 触り続けるのが難しいほど熱い
- 充電が何度も停止する
- 異臭がする
- 本体やケースが変形している
- 硬貨や鍵が挟まっている
大きな発熱や充電停止が起きた場合は、
スマートフォンを充電器から外し、
充電器の電源も切り離します。
冷めたあとに置く位置やケース、
充電器の上に物がないかを確認しても
大きな発熱を繰り返す場合は、
その組み合わせでの使用を中止します。
異臭や変形がある場合は、
冷めたあとも充電を再開せず、
製品の使用を中止します。
Qi充電のメリット・デメリット
Qi充電は、
スマートフォンにケーブルを挿さず、
充電器の上に置いて充電できます。
抜き差しの手間を減らせる一方、
充電速度や発熱、置く位置の影響を
受けやすい点には注意が必要です。
Qi充電のメリット
置くだけで充電を始められる
Qi充電器の上に
スマートフォンを置けば、
充電が始まります。
充電のたびにケーブルを探して、
端子へ挿し込む必要がありません。
机やベッドの近くなど、
決まった場所に充電器を置いておくと、
短い時間でもこまめに充電できます。
充電端子の抜き差しを減らせる
Qi充電では、
スマートフォンの充電端子を使いません。
ケーブルを何度も抜き差ししないため、
端子やコネクタの摩耗を
抑えられます。
充電端子に防水キャップがある機器も、
キャップを開けずに充電できます。
ただし、機器や充電器がぬれた状態で
使ってよいという意味ではありません。
メーカーが異なる充電器も選べる
スマートフォンと充電器の両方が
Qiに対応していれば、
メーカーが異なっていても
基本的に組み合わせて使えます。
置き型やスタンド型、車載型など、
使う場所に合った充電器を
選びやすい点もメリットです。
ただし、実際の充電速度は、
スマートフォンと充電器が対応する
出力によって変わります。
Qi充電のデメリット
有線充電より遅い場合がある
Qi充電では、
充電器とスマートフォンの間を
無線で電力が伝わります。
有線充電より電力の損失が大きく、
同じスマートフォンでも
充電に時間がかかる場合があります。
短時間で多く充電したいときは、
有線充電の方が向いています。
本体や充電器が温かくなりやすい
ワイヤレスで電力を送る途中では、
電力の一部が熱に変わります。
そのため、Qi充電中は
スマートフォンや充電器が
温かくなることがあります。
置く位置がずれていたり、
厚いケースを付けていたりすると、
発熱が大きくなる場合があります。
置く位置によって充電状態が変わる
Qi充電では、
充電器側とスマートフォン側の
コイルを近い位置に合わせる必要があります。
位置が大きくずれると、
充電が始まらなかったり、
途中で止まったりすることがあります。
置くだけで充電できますが、
どの位置でも充電できるわけではありません。
ケースの影響を受けることがある
薄いケースなら、
付けたまま充電できる製品もあります。
ただし、ケースが厚いと、
充電器とスマートフォンの距離が広がり、
電力が伝わりにくくなります。
充電できない、遅い、
発熱が大きいときは、
ケースを外して確認します。
Qi充電は手軽に使える一方、
速度、発熱、位置合わせでは
有線充電より不利になることがあります。
QiとQi2は何が違う?
Qi2は、従来のQiをもとに作られた
新しい世代のワイヤレス充電規格です。
どちらもWPCが策定しており、
Qi2では磁石による位置合わせなどが
追加されています。
QiとQi2は組み合わせて使える
Qi認証を受けたスマートフォンと充電器なら、
QiとQi2を組み合わせて
基本的に充電できます。
組み合わせによる違いは、
次のとおりです。
- Qi対応スマートフォン × Qi2充電器
→ 従来のQiとして充電 - Qi2対応スマートフォン × Qi充電器
→ 従来のQiとして充電 - Qi2対応スマートフォン × Qi2充電器
→ Qi2の機能を使って充電
WPCも、Qi認証製品はメーカーや世代が異なっても、
以前のQi規格を含めて組み合わせて使えると
案内しています。
新旧を組み合わせても充電できますが、
Qi2の機能を使うには、
スマートフォンと充電器の両方が
Qi2に対応している必要があります。
Qi2は磁石で位置を合わせやすい
従来のQiでは、
スマートフォンを置く位置によって
内部のコイルがずれることがあります。
Qi2では磁石を使い、
スマートフォンと充電器のコイルを
合う位置へ固定しやすくなっています。
位置ずれを抑えることで、
電力を効率よく送りやすくなり、
置く位置を細かく調整する手間も減ります。
Qi2には15Wと25Wがある
最初に登場したQi2は、
最大15Wの充電に対応しています。
その後、最大25Wに対応する
「Qi2 25W」が追加されました。
同じQi2でも最大出力は異なるため、
製品を選ぶときは
「Qi2対応」という表示だけでなく、
対応するW数も確認します。
まとめ
ワイヤレス充電は、
スマートフォンにケーブルを挿さず、
充電器の上に置いて充電する方法です。
Qiは、ワイヤレス充電器とスマートフォンを
組み合わせて使うために、
WPCが定めた共通規格です。
スマートフォンと充電器の両方が
Qiに対応していれば、
メーカーが異なっていても
基本的に充電できます。
充電速度は、
スマートフォンと充電器のうち、
対応するW数が低い側に合わせられます。
置く位置のずれやケースの厚さ、
本体の温度、ACアダプターの出力によっては、
充電が遅くなったり止まったりすることがあります。
Qi2は、従来のQiをもとにした
新しい世代の規格です。
磁石で充電位置を合わせやすくなり、
最大15Wや25Wに対応する製品もあります。
QiとQi2を組み合わせた場合は、
従来のQiとして充電します。
Qi2の磁石による位置合わせや対応出力を使うには、
スマートフォンと充電器の両方が
Qi2に対応している必要があります。
購入前は、製品仕様にある
「Qi」「Qi2」「最大出力」の表示を確認してください。