ACアダプターや電源を調べていると、
「スイッチング電源」や
「リニア電源」という言葉が出てきます。
名前が違うことは分かっても、
仕組みがどう違うのか、
どちらを選べばよいのか、
別の方式の電源で代用できるのかは、
表記を見ただけでは分かりません。
「スイッチング電源はノイズが出やすい」
「リニア電源はノイズが少ない」
と説明されることもあります。
ただ、その違いが、
実際の機器にどのような影響を与えるのか、
電源を選ぶときに何を確認すればよいのかまでは、
分かりにくい部分です。
ここでは、
スイッチング電源とリニア電源の違い、
それぞれが使われる場面、
別の方式へ置き換えるときの確認点を説明します。
スイッチング電源とリニア電源は何が違うのか
スイッチング電源とリニア電源は、
どちらも機器に必要な電圧をつくり、
電気を供給するための電源です。
違うのは、
電圧を変えて、安定させる方法です。
その違いによって、
本体の大きさや重さ、発熱、
電力の無駄、ノイズの出方が変わります。
- スイッチング電源:小型・軽量にしやすく、電力の無駄や発熱を抑えやすい
- リニア電源:大きく重くなりやすいが、電源ノイズを抑えやすい
一般的なACアダプターや充電器では、
スイッチング電源が多く使われています。
一方、音響機器や測定機器など、
電源ノイズの影響を受けやすい機器では、
リニア電源が使われることがあります。
使用できる電源は、機器が必要とする電源条件に合わせて選びます。
別の電源へ交換するときは、
次の条件を確認します。
- 出力電圧(V)
- 出力電流(A/mA)
- 極性(+/-)
- プラグの形状と大きさ
これらが機器の指定する条件を満たしていなければ、
同じ方式の電源でも使用できません。
スイッチング電源とは
スイッチング電源は、
電気を高速で入れたり切ったりしながら、
機器に必要な電圧へ変える電源です。
この高速な切り替えを、
スイッチングと呼びます。
高速で電気を切り替えることで、
電力の無駄や発熱を抑えやすく、
電圧を変えるための部品も小さくできます。
主な特徴は次のとおりです。
- 小型・軽量にしやすい
- 電力の無駄が少ない
- 発熱を抑えやすい
- 広い入力電圧に対応しやすい
- 電源ノイズが発生しやすい
スマートフォンの充電器や、
パソコンのACアダプターなど、
現在使われている多くの電源に採用されています。
電源本体には、
「Switching Power Supply」や
「Switching Adapter」と書かれていることがあります。
リニア電源とは
リニア電源は、
トランスで電圧を下げ、
整流して直流に変えたあと、
余分な電力を熱として消費しながら、
出力電圧を一定に保つ電源です。
トランスとは、
交流の電圧を上げたり下げたりする部品です。
家庭用コンセントの交流を、
機器で使える直流へ変えるために、
次の処理を行います。
- 整流:交流を直流として使える形に変える
- 平滑:電圧の波を小さくして、なめらかにする
- 安定化:出力電圧を一定に保つ
また、低い周波数で動作する
大きなトランスを使うため、
本体も重くなりやすい方式です。
主な特徴は次のとおりです。
- 電源ノイズを抑えやすい
- 本体が大きく重くなりやすい
- 発熱や電力の無駄が増えやすい
音響機器や測定機器など、
電源ノイズの影響を受けやすい機器で
使われることがあります。
スイッチング電源とリニア電源の主な違い
両者の違いは、
電源本体の大きさや重さ、発熱、
電力の無駄、ノイズの出方に表れます。
- スイッチング電源:小型・軽量にしやすく、発熱や電力の無駄を抑えやすい
- リニア電源:大きく重くなりやすいが、電源ノイズを抑えやすい
大きさと重さの違い
スイッチング電源は、
電気を高速で切り替えることで、
電圧を変えるための部品を小さくできます。
そのため、
同じ程度の電力を供給する電源で比べると、
小型・軽量にしやすい方式です。
リニア電源は、
家庭用コンセントと同じ低い周波数で動作する
大きなトランスを使います。
出力できる電力が大きくなるほど、
トランスも大きく重くなります。
電力の無駄と発熱の違い
スイッチング電源は、
電気を高速で切り替えて出力を調整するため、
電力の無駄や発熱を抑えやすくなります。
リニア電源は、
入力と出力の電圧差によって生じる電力を
熱として消費します。
そのため、
同じ出力条件では、リニア電源のほうが発熱しやすく、
放熱のための部品も大きくなりやすい傾向があります。
電源ノイズの違い
スイッチング電源は、
電気を高速で切り替えるときに、
高い周波数のノイズが発生しやすくなります。
高い周波数の電源ノイズとは、
短い間隔で変化する細かな電気の乱れです。
リニア電源は高速な切り替えを行わないため、
この種類のノイズを抑えやすくなります。
音響機器や測定機器では、
この違いが音や測定結果に影響することがあります。
リニア電源でも、
回路の設計や使用する部品によって
ノイズは発生します。
どちらの電源を選べばよいか
一般的なACアダプターや充電器では、
小型・軽量にしやすい
スイッチング電源が多く使われています。
音響機器や測定機器など、
電源ノイズの影響を受けやすい機器では、
リニア電源が選ばれることがあります。
機器に指定された電源を優先する
電源を選ぶときは、
取扱説明書や機器本体に記載された指定を優先します。
純正のACアダプターが故障・紛失し、
別の電源へ交換する場合は、
次の項目を確認します。
- 出力電圧(V)が同じ
- 出力電流(A/mA)が必要量以上
- 極性(+/-)が同じ
- プラグの形状と大きさが合っている
これらの条件を満たしていれば、
方式が異なる電源も交換候補になります。
音響機器や測定機器では、
電源方式を変えることで、
雑音や測定値に影響が出ることがあります。
電源方式まで指定されている機器には、
指定された方式の電源を使用します。
スイッチング電源とリニア電源の違いまとめ
スイッチング電源は、
電気を高速で切り替えて出力を調整する方式です。
小型・軽量にしやすく、
発熱や電力の無駄を抑えやすいため、
多くのACアダプターや充電器に使われています。
リニア電源は、
余分な電力を熱として消費しながら、
出力電圧を一定に保つ方式です。
本体は大きく重くなりやすい一方で、
高い周波数のノイズを抑えやすいため、
音響機器や測定機器で使われることがあります。
電源を選ぶときは、
次の順番で確認します。
- 取扱説明書や機器本体の指定
- 出力電圧(V)
- 出力電流(A/mA)
- 極性(+/-)
- プラグの形状と大きさ
- 電源方式の指定
純正電源から別の電源へ交換するときも、
機器が必要とする条件を満たす電源を選びます。