飛行機に乗るとき、
「モバイルバッテリーは持っていっていいの?」
「スーツケースに入れて預けても大丈夫?」と迷うことがあります。
結論からいうと、
モバイルバッテリーは条件を満たせば飛行機の機内へ持ち込めます。
現在、日本ではモバイルバッテリーは160Wh以下のものを1人2個まで機内へ持ち込めますが、
預け荷物には入れられません。
また、2026年4月24日からは、機内でモバイルバッテリーを充電することは禁止され、
モバイルバッテリーからスマートフォンなどへ給電しないことも求められています。[1]
ただ、普段使っているモバイルバッテリーには、
- 10000mAh
- 20000mAh
のように「mAh」で容量が書かれていることが多く、
160Wh以下と言われても、自分のバッテリーが該当するのか分かりにくいところがあります。
この記事では、モバイルバッテリーを飛行機へ持ち込むときの容量や個数、預け荷物の扱い、
mAhからの確認方法、機内での取り扱いまで、初めて確認する人にも分かるように順番に解説します。
モバイルバッテリーは飛行機に持ち込める?
モバイルバッテリーは、決められた条件を満たしていれば
飛行機の機内へ持ち込むことができます。
ただし、スーツケースなどの預け荷物に入れることはできず、
自分で機内へ持ち込む必要があります。
また、どんなモバイルバッテリーでも持ち込めるわけではありません。
確認する必要があるのは、主に
「容量」「個数」「持ち込み方」です。
現在、日本では160Wh以下のモバイルバッテリーを
1人2個まで機内へ持ち込めます。
「10000mAhなら大丈夫?」「160Whってどこを見るの?」という場合も、
このあと順番に確認していきます。
まず確認するのは「容量・個数・持ち込み方」の3つ
モバイルバッテリーを飛行機に持っていくときは、
まず次の3つを確認します。
- 容量が160Wh以下か
- 持ち込むモバイルバッテリーが2個までか
- 預け荷物に入れず、ショートしないように保護して機内へ持ち込むか
この3つを確認すれば、
モバイルバッテリーを持ち込めるかの基本的な判断ができます。[1]
ショートを防ぐ方法は、
USB-CやUSB-Aの差込口に絶縁テープを貼るだけではありません。
モバイルバッテリーをケースや収納袋に入れ、
鍵や硬貨などの金属類と直接触れないようにする方法でも対策できます。[2]
ケーブルを取り外せるタイプであれば、
持ち運ぶときは外してバッテリーとは分けておくと扱いやすくなります。
また、モバイルバッテリーには「10000mAh」「20000mAh」のように、
WhではなくmAhで容量が表示されていることもあります。
その場合は、表示されているmAhと電圧(V)から、
160Wh以下に当てはまるかを確認する必要があります。
10000mAh・20000mAhのモバイルバッテリーは持ち込める?
市販のモバイルバッテリーでは、
「10000mAh」「20000mAh」といった容量表示をよく見かけます。
飛行機への持ち込みではmAhの数字だけではなく、
Wh(ワット時)が160Wh以下かを確認します。
Whとは、
バッテリーにどれくらいの電力量を蓄えられるかを表す数字です。
mAhもバッテリー容量を見るときに使われますが、
Whは電圧(V)まで含めて電力量を表します。
まず、モバイルバッテリー本体の側面や背面、底面などにある
小さな仕様表示を確認します。
製品によって表記は異なりますが、
- Capacity(容量):10000mAh
- Rated Voltage(定格電圧):3.7V
- Wh:37Wh
のように、容量や電圧、Whが記載されています。
Whが書かれている場合は、その数字を確認すれば計算する必要はありません。
Whが書かれていない場合は、
mAhと定格電圧(V)を使って計算します。
計算式は、
Wh = mAh × 定格電圧(V)÷ 1,000
です。[2]
たとえば、20000mAh・3.7Vのモバイルバッテリーなら、
20000 × 3.7 ÷ 1,000 = 74Wh
となります。
74Whは160Wh以下なので、
容量については持ち込み可能な範囲です。
2個持っていく場合は合計Whで判断しない
たとえば、74Whのモバイルバッテリーを2個持っていく場合、
合計すると148Whになります。
ただし、飛行機への持ち込みは
2個を足した合計Whで判断するわけではありません。
74Whのモバイルバッテリーが2個なら、
どちらも1個あたり160Wh以下で、個数も2個までなので持ち込み可能な範囲です。[1]
同じように、
74Wh+148Wh
の場合も、どちらも1個あたり160Wh以下なので、
容量と個数については持ち込み可能な範囲に入ります。
一方、たとえば50000mAh・3.7Vの場合は、
50000 × 3.7 ÷ 1,000 = 185Wh
となります。
このモバイルバッテリーは1個だけでも160Whを超えるため、
機内へ持ち込むことはできません。
たとえば、
74Wh+185Wh
の2個を持っている場合も、
185Whのモバイルバッテリーが160Whを超えているため、その1個は持ち込めません。
このように、
「2個合わせて160Wh以下か」ではなく、それぞれのモバイルバッテリーが160Wh以下かを確認します。
また、同じ10000mAhや20000mAhでも、
定格電圧(V)が違えばWhも変わります。
そのため、「20000mAhまでなら大丈夫」のようにmAhだけで判断せず、
本体にWhがあればWhを、なければmAhと定格電圧(V)を確認します。
Whの意味やmAhとの違いについては、
Wh(ワット時)とは|Wとの違いと電力量の見方で詳しく解説しています。
モバイルバッテリーはバッグに入れる?ポケットでもいい?
モバイルバッテリーは、
必ずバッグや専用ケースに入れて機内へ持ち込まなければならないわけではありません。
ズボンや上着のポケットなど、
自分で身につけた状態で機内へ持ち込むこともできます。
大切なのは、スーツケースなどの預け荷物に入れず、
モバイルバッテリーを自分で機内へ持ち込むことです。
ただし、ポケットに入れる場合でも、
鍵や硬貨などの金属類と一緒に入れるのは避けます。
金属が端子部分に触れるとショートする可能性があるため、
ケースや収納袋に入れるなどして個別に保護しておくと分かりやすいです。[2]
また、機内へ持ち込んだあとは座席上の収納棚には入れず、
座席ポケットなど、手元に保管します。[1]
「手荷物として持ち込む」といっても、
必ず手提げバッグの中に入れるという意味ではありません。
預けずに自分で機内へ持ち込み、ショートを防ぎ、すぐ確認できる状態にしておく
と考えると分かりやすいです。
モバイルバッテリーを持ち込むときに申告や書類は必要?
160Wh以下・2個までなどの条件を満たした
通常のモバイルバッテリーを持ち込む場合、専用の申告書を書く必要はありません。
搭乗前に自分でモバイルバッテリーの容量や個数を確認し、
手荷物として保安検査を受けて機内へ持ち込みます。
ただし、保安検査などで確認を求められた場合は、
モバイルバッテリー本体の容量表示を確認されることがあります。
そのため、ケースに入れていてもすぐ取り出せるようにして、
WhやmAh、電圧(V)などの表示が確認できる状態にしておくと分かりやすいです。
特に、Whの表示がなく、mAhや電圧(V)からもWhを確認できない場合は、
航空会社によって持ち込みを断られることがあります。
基本的には、空港で特別な書類を書くというより、
自分で条件を確認したモバイルバッテリーを手荷物として持って保安検査を受けると考えると分かりやすいです。
飛行機の中でスマホを充電していい?
2026年4月24日から、
機内でモバイルバッテリーそのものを充電することは禁止されています。
また、モバイルバッテリーからスマートフォンやタブレットなどへ
充電することも行わないよう求められています。[1]
つまり、
- 機内のUSBやコンセントからモバイルバッテリーを充電する → 禁止
- モバイルバッテリーからスマートフォンを充電する → 行わない
- モバイルバッテリーを使わず、機内設備からスマートフォンなどを直接充電する → 航空会社の案内に従う
と考えると分かりやすいです。
なお、モバイルバッテリーから他の電子機器への充電は、
法律に基づく禁止事項ではありませんが、国土交通省から行わないよう要請されています。
そのため、飛行機に持ち込んだモバイルバッテリーは、
機内では基本的に使わず、手元に保管しておくと考えると分かりやすいです。
国内線と国際線でルールは違う?
日本の航空会社を利用する場合、国内線・国際線ともに基本となるルールは同じです。
モバイルバッテリーは、
- 160Wh以下
- 1人2個まで
- 預け荷物には入れない
- ショートしないように保護する
といった条件を確認して、機内へ持ち込みます。
ただし国際線では、
利用する航空会社や乗り継ぎ先によって、さらに厳しい条件が設けられていることがあります。
国土交通省も、航空会社によってはより厳しいルールを設けている場合があるため、
各航空会社の指示に従うよう案内しています。[1]
たとえばシンガポール航空では、100Wh以下のモバイルバッテリーは特別な承認なしで持ち込めますが、
100Whを超えて160Wh以下の場合は、航空会社の承認が必要です。[3]
そのため、120Whのモバイルバッテリーは日本の「160Wh以下」という条件には収まっていますが、
シンガポール航空を利用する場合は、事前に航空会社の承認を受ける必要があります。
乗り継ぎがある場合は途中でも確認されることがある
たとえば、
日本 → 香港で乗り継ぎ → シンガポール
という便を利用する場合、日本で保安検査を通過して飛行機に乗れたとしても、
香港で乗り継ぐときに再び保安検査を受けます。
そこで次に利用する航空会社や空港の条件を満たしていなければ、
そのモバイルバッテリーを持ったまま次の飛行機に乗れない場合があります。
この場合も、追加料金を払えば持ち込めるというものではありません。
航空会社の承認が必要なバッテリーで承認を受けられなかったり、
持ち込み自体が禁止されている容量だったりすれば、持ったまま搭乗することはできません。
一方、こうしたWhによる制限は、
モバイルバッテリーを航空機で運ぶときの条件として確認するものです。
到着地での持ち込みや所持に別の規制がある場合は、
その国や地域のルールを別に確認します。
たとえば250Whのモバイルバッテリーであれば、日本の160Whという上限を超えているため、
そもそも通常のモバイルバッテリーとして機内へ持ち込むことはできません。
仮に途中まで移動できたとしても、乗り継ぎ時などに確認されれば、
追加料金を払ってそのまま次の便へ持ち込むことはできません。
海外へ行く場合は、
「日本の保安検査を通れるか」だけではなく、利用する航空会社と乗り継ぎ先の条件まで確認する
と考えると分かりやすいです。
搭乗前に確認するポイント
モバイルバッテリーを飛行機へ持っていくときは、
搭乗前に次の点を確認しておくと分かりやすいです。
- モバイルバッテリーが160Wh以下か
- 持ち込む個数が2個までか
- 預け荷物ではなく、機内へ持ち込む手荷物にしているか
- 端子部分が金属類と触れないよう、ショート対策をしているか
- 本体にWh、mAh、電圧(V)などの表示があるか
- 海外便では、利用する航空会社や乗り継ぎ先の追加条件を確認したか
機内へ持ち込んだあとは、座席上の収納棚には入れず、
座席ポケットなど手元に置いて保管します。
また、機内ではモバイルバッテリーそのものを充電せず、
スマートフォンなどへの給電にも使用しないようにします。
このあたりまで確認しておけば、
一般的なモバイルバッテリーを持って飛行機に乗るときの基本的な準備は完了です。
モバイルバッテリー以外のバッテリーも160Whで判断する?
飛行機で制限されるバッテリーは、
モバイルバッテリーだけではありません。
たとえば、
- 電動工具の取り外し式バッテリー
- カメラの予備バッテリー
- ノートパソコンの予備バッテリー
なども対象になります。
ただし、これらはモバイルバッテリーではなく、
電子機器に使用する「予備電池」として扱われます。
電動工具などの予備バッテリーは?
リチウムイオンの予備電池もWhを確認します。
たとえばANAでは、
- 100Wh以下 → 1人20個まで機内持ち込み可能
- 100Wh超~160Wh以下 → 1人2個まで機内持ち込み可能
- 160Wh超 → 通常の予備電池としては機内持ち込み・預け入れともに不可
と案内しています。
予備電池を預け荷物に入れることはできず、
端子が金属類と触れないようショート対策も必要です。
また、2026年4月24日からは、予備電池だけを単体で運ぶのではなく、
そのバッテリーを使用する電子機器本体と一緒に運ぶ必要があります。[4]
なお、100Whを超えて160Wh以下の予備電池は、
モバイルバッテリーと一緒に持つ場合、組み合わせによって持ち込める個数が変わります。
たとえば、電動ドリルやインパクトドライバーなどに使われる
マキタの18V・6.0Ahバッテリー「BL1860B」は108Whです。[5]
108Whなので、100Whを超えて160Wh以下の予備電池として扱われます。
スマホに入っているバッテリーは別に数える
スマートフォンにもリチウムイオンバッテリーが入っていますが、
スマホそのものをモバイルバッテリーや予備電池として数えるわけではありません。
スマホやノートパソコン、デジタルカメラなどは、
「リチウム電池を内蔵・装着した電子機器」として扱われます。
たとえばANAでは、160Wh以下のリチウムイオン電池を内蔵した電子機器は
1人15台までと案内しています。[4]
そのため、
スマホ5台+モバイルバッテリー2個
を持っている場合、スマホ5台をモバイルバッテリー5個として数えるわけではありません。
リチウム以外の電池は?
ニッケル水素電池やニッカド電池、アルカリ乾電池などは、
リチウムイオン電池とは扱いが異なります。
ただし、「リチウムではないから何個でも自由」という意味ではありません。
電池の種類によって条件が異なり、
予備電池ではショートを防ぐための対策が必要なものもあります。[4]
自動車に使われる鉛バッテリーなども別の種類の危険物として扱われるため、
モバイルバッテリーと同じ「160Wh以下か」だけで判断するものではありません。
160Whを超えたら一切持ち込めない?
一般的なモバイルバッテリーや工具用の予備リチウムイオン電池では、
160Whを超えると通常の旅客手荷物として持ち込めません。
ただし、すべてのバッテリーに例外がないわけではありません。
たとえば、本人が使用する電動車いすなどの歩行補助機器では別の基準があり、
160Whを超えて300Wh以下の予備リチウムイオンバッテリーを1個まで持ち込める場合があります。[6]
つまり、「160Wh」はすべてのバッテリーに共通する絶対的な上限ではなく、バッテリーの用途や扱いによってルールが変わります。
大量の工具やバッテリーを仕事で運ぶ場合は?
160Whを超えたバッテリーが、
世界中どこにも飛行機で運べないという意味でもありません。
ここまで説明してきた160Whなどの条件は、
主に旅客が手荷物として飛行機へ持っていく場合のルールです。
商品や業務用のバッテリーを輸送する場合は、
危険物として必要な梱包や申告などを行い、航空貨物で輸送できるものもあります。[7]
たとえば職人が、
- 電動工具を何台も持っている
- 工具用バッテリーを大量に使用する
- ドリル刃やカッターなども持っていく
といった場合、すべてを旅客手荷物として持っていくのではなく、
運送会社やフェリー会社の規定を確認したうえで、工具類を別送するなどの方法もあります。
海外の現場へ大量の工具を持っていく場合も、
国際航空貨物や船便を利用する方法があります。
この場合はリチウムバッテリーの危険物輸送だけでなく、
輸出先・輸入先の税関手続きも確認する必要があります。
仕事で使用する工具を一時的に海外へ持ち出し、仕事が終わったら日本へ持ち帰る場合には、
国や条件によってATAカルネという一時輸出入の仕組みを利用できることもあります。[8]
ただし、ATAカルネは通関手続きの制度であり、バッテリーの航空輸送条件とは別に確認が必要です。
このように、バッテリーはすべて同じルールで判断するのではなく、
「モバイルバッテリーなのか」「機器に入った電池なのか」「予備電池なのか」「旅客手荷物なのか貨物なのか」
によって確認する条件が変わります。
参考資料
[1]国土交通省|モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて
[2]JAL|国内線 制限のあるお手荷物
[3]シンガポール航空|手荷物制限
[4]ANA|機内持ち込み・お預かりに条件があるもの(日本国内線)
[5]株式会社マキタ|取扱説明書(BL1860Bの108Wh表示)
[6]ANA|飛行機での車いすのご利用・歩行の不自由なお客様へのご案内
[7]IATA|IATA Guidance Document for Lithium Batteries and Sodium ion Batteries – 2026
[8]税関|ATAカルネを利用した輸出入手続