環境・使用条件

IP規格とは?IPX4・IP67の違いと防塵・防水等級の見方をわかりやすく解説

IP規格とは?のアイキャッチ

スマートフォンやイヤホン、屋外用カメラなどの仕様を見ると、
「IP67」「IPX4」といった表示を見かけることがあります。

これらは防塵・防水性能に関係する表示ですが、
数字や「X」が何を意味しているのか、分かりにくいものです。

例えば、

  • 雨に濡れても大丈夫なのか
  • 水洗いしてもよいのか
  • IPX4とIP67では何が違うのか
  • 数字が大きいほど防水性能が高いのか

といった疑問を持つこともあるでしょう。

IPコードは、機器の外装が固形物や水の侵入に対して、
どの程度保護されているかを示すものです。

例えば、IPX4は水しぶきに対する保護性能を示し、
IP67は防塵等級6と、一時的な水没に対する防水等級7を示します。

ただし、数字が大きいからといって、どんな環境でも使えるわけではありません。

水しぶき、強い水流、水没では、それぞれ求められる保護性能が異なります。

この記事では、IPコードの基本的な読み方から、
防塵・防水等級の意味、IPX4とIP67の違いまでわかりやすく解説します。

製品のIP表示を正しく読み取り、使用環境に合った性能かどうかを判断できるようにしましょう。


IP規格を見ると何が判断できるのか

IP規格を見ると、機器の外装が、固形物や水の侵入に対して、
どの程度保護されているかが分かります。

また、指などが機器内部の危険な部分に触れないようにする保護も含まれています。[1]

例えば、

  • IPX4:水しぶきに対する保護性能
  • IP67:粉塵の侵入を防ぐ性能と、一時的な水没に対する保護性能

を示しています。

ただし、ここで分かるのは、
規格で定められた条件に基づく保護性能です。

実際に使用できる環境は、IP等級と製品の取扱説明書に記載された条件を照らし合わせて確認します。

特に注意したいのが、水に対する保護性能です。

水しぶき、強い水流、水没では、それぞれ求められる保護性能が異なります。

そのため、数字の大きさよりも、水の当たり方や使用環境に合った防水等級を確認することが重要です。

IP規格を確認するときは、等級の数字だけでなく、
実際にどのような条件で使用するのかを考えることが大切です。


防塵構造・防水構造とIP規格の関係

機器には、ほこりや水が内部に入りにくいように、
さまざまな工夫がされています。

こうした作りを「防塵構造」「防水構造」と呼びます。

一方、IP等級は、機器の外装がどの程度の保護性能を持つかを、
規格で定められた条件に基づいて示すものです。

防塵・防水構造は機器の作り、IP等級はその保護性能を示す表示として区別します。

防塵構造とは

防塵構造とは、ほこりや細かな粉塵が機器の内部に入りにくいようにした構造です。

例えば、次のような方法があります。

  • 外装のすき間を小さくする
  • 接合部をシールする
  • 開口部にフィルターやカバーを設ける
  • スイッチや端子部分を保護する

こうした工夫によって、砂ぼこりや粉塵の侵入を抑えています。

防水構造とは

防水構造とは、水が機器の内部に入りにくいようにした構造です。

例えば、次のような方法があります。

  • 接合部にパッキンを使用する
  • 端子部分に防水カバーを付ける
  • 開口部をシールする
  • ケースの合わせ目から水が入りにくい形にする

これらの構造によって、水の侵入を抑えています。

ただし、対応できる水の条件は製品によって異なります。

水しぶき、水洗い、水没など、どのような環境に対応しているかは、
IP等級や製品の取扱説明書で確認します。

構造だけではIP等級を判断できない

パッキンが使われていたり、外装が密閉されているように見えたりしても、
外観だけでIP等級を判断することはできません。

IP等級には規格で定められた試験条件があり、
その条件に基づいて保護性能が評価されます。

そのため、機器にどのような構造が使われているかだけでなく、
製品に表示されたIPコードを確認することが重要です。

また、「密閉構造」は、機器の内部と外部を隔てる構造を指す言葉です。

密閉構造そのものが、特定の防塵等級や防水等級を示しているわけではありません。

詳しくは「密閉構造とは?防水・防塵との違いと、どこまで防げるかの確認方法」で解説しています。


IPX4とIP67の違いを先に見てみよう

IPX4とIP67は、どちらも水に対する保護性能を示していますが、対応する条件が異なります。

IPX4は水しぶき、IP67は一時的な水没に対する保護性能を示しています。

また、IP67には防塵性能も含まれています。

まずは、2つの違いを比較してみましょう。

項目IPX4IP67
防塵性能表示なし(X)等級6
防水性能等級4等級7
水に対する試験あらゆる方向からの水しぶき一定条件での一時的な水没
粉塵の侵入表示なし粉塵の侵入を防ぐ
一時的な水没対象外対応

※JIS C 60529:2026に基づく比較です。[1]

このように、IPX4とIP67では、確認されている保護性能が異なります。

例えば、雨や水しぶきがかかる場所では、
IPX4が判断材料になります。

一方、水に落とす可能性がある場合は、
IP67の水没に対する保護性能が判断材料になります。

ここで注意したいのが、水没と強い水流では、試験条件が異なることです。

IP67は、一定条件で水に沈める試験に対応した表示です。

ホースなどで勢いよく水をかける場合は、
IPX5・IPX6などの噴流水に対する保護性能を確認します。

実際に水洗いするときは、IP等級とあわせて、
製品の取扱説明書に記載された使用条件も確認しましょう。


IPコードの読み方

IPコードは、「IP」という2文字のあとに続く数字で、
機器の保護性能を表しています。

例えば「IP67」の場合、左側の「6」と右側の「7」には、
それぞれ異なる意味があります。

表示意味
IP保護等級を示すコード
左側の数字固形物の侵入や危険な部分への接触に対する保護
右側の数字水の侵入に対する保護

一般的には、左側が防塵等級、右側が防水等級と覚えると分かりやすいでしょう。

IP67を読んでみる

IP67は、次の2つの保護性能を示しています。

  • 6:防塵等級6(粉塵の侵入を防ぐ)
  • 7:防水等級7(一時的な水没に対する保護)

つまりIP67は、粉塵の侵入を防ぐ性能と、
一定条件で水に沈めた場合の保護性能を備えていることを示しています。

IP54を読んでみる

IP54の場合は、次のようになります。

  • 5:防塵等級5(機器に悪影響を及ぼす粉塵の侵入を防ぐ)
  • 4:防水等級4(あらゆる方向からの水しぶきに対する保護)

IP67と同じように、左側と右側の数字を分けて読むことで、
保護性能の違いが分かります。

IPX4を読んでみる

IPX4では、数字の代わりに「X」が使われています。

  • X:防塵等級が指定されていない
  • 4:防水等級4(あらゆる方向からの水しぶきに対する保護)

ここで重要なのは、「X」と「0」は意味が異なることです。

「0」は、その項目について規格上の保護がないことを示す等級です。

一方「X」は、その項目の等級が指定されていないことを示します。

そのため、IPX4は水しぶきへの保護性能が確認できる表示であり、
防塵性能については別途製品仕様を確認します。

この読み方を覚えておけば、IP65やIP68など、
ほかのIP表示も同じ方法で読み取れるようになります。


防塵等級とは

防塵等級とは、機器の内部に固形物や粉塵が入り込むことを防ぐ性能を示す等級です。

IPコードの左側にある数字で表され、0〜6の7段階に分かれています。

例えば「IP67」の場合、左側の「6」が防塵等級です。

防塵等級には、粉塵の侵入を防ぐだけでなく、
指や工具などが機器内部の危険な部分に触れることを防ぐ意味もあります。[1]

なぜ粉塵が問題になるのか

機器の内部に砂ぼこりや細かな粉塵が入り込むと、
さまざまな不具合につながることがあります。

例えば、

  • 冷却性能の低下
  • 可動部の摩耗
  • 電気接点の接触不良
  • 絶縁性能の低下

などです。

パソコンの吸気口にほこりがたまったり、
換気扇の内部が汚れたりするのも、身近な例です。

特に、屋外で使用する機器や粉塵の多い作業場では、
防塵性能が重要になります。

防塵等級は0〜6で表される

防塵等級は、数字によって保護する対象が異なります。

等級1〜4は、主に固形物の大きさに応じた保護性能を示しています。

例えば、

  • 等級1:直径50mm以上の固形物に対する保護
  • 等級2:直径12.5mm以上の固形物に対する保護
  • 等級3:直径2.5mm以上の固形物に対する保護
  • 等級4:直径1.0mm以上の固形物に対する保護

そして、等級5と6では、細かな粉塵に対する保護性能が評価されます。

等級5は、機器の動作や安全性に悪影響を及ぼす量の粉塵の侵入を防ぐ等級です。

等級6は、規定の試験条件で粉塵の侵入を防ぐ等級です。[1]

防塵等級は高いほどよいのか

防塵等級は、数字が大きいほど固形物や粉塵に対する保護性能が高くなります。

ただし、必要な等級は使用環境によって変わります。

例えば、室内で使用する一般的な機器と、
砂ぼこりの多い屋外で使用する機器では、求められる保護性能が異なります。

製品を選ぶときは、使用する場所や粉塵の多さに合わせて、防塵等級を確認することが大切です。


防水等級とは

防水等級とは、水の侵入によって機器に有害な影響が生じないようにする
保護性能を示す等級です。

IPコードの右側にある数字で表され、0〜9の10段階に分かれています。

例えば「IP67」の場合、右側の「7」が防水等級です。

水に対する保護性能は、水の当たり方や水圧、
浸かっている時間などによって異なります。

なぜ水が問題になるのか

機器の内部に水が侵入すると、さまざまな不具合につながることがあります。

例えば、

  • 短絡(ショート)
  • 金属部分の腐食
  • 絶縁性能の低下
  • 動作不良や故障

などです。

スマートフォンやワイヤレスイヤホンなども、
内部に水が侵入すると故障することがあります。

こうした水の影響から機器を保護するために、防水構造が使われています。

その保護性能を規格で定められた条件に基づいて示したものが、防水等級です。

防水等級は0〜9で表される

防水等級は、水の当たり方や試験条件によって分類されています。

主な違いは次のとおりです。

  • 等級0:水に対する保護なし
  • 等級1・2:水滴に対する保護
  • 等級3・4:散水や水しぶきに対する保護
  • 等級5・6:噴流水に対する保護
  • 等級7・8:水没に対する保護
  • 等級9:高圧・高温の水噴流に対する保護

2026年1月20日に制定されたJIS C 60529:2026では、
新たに防水等級9が追加されました。[1][2]

等級9は、高圧・高温の水を使って洗浄する機器などを想定した保護等級です。

同じ防水性能でも、水しぶき、噴流水、水没では、
それぞれ試験条件が異なります。

数字が大きいほど防水性能は高いのか

防水等級1〜6は、数字が大きくなるほど、
より厳しい水の当たり方に対応する保護性能を示しています。

一方、等級7・8・9は、試験する水の条件が異なります。

例えば、

  • IPX7:一時的に水へ沈める試験
  • IPX8:規定された条件で継続的に水へ沈める試験
  • IPX9:高圧・高温の水を噴射する試験

という違いがあります。

ここで疑問になるのが、
「IPX9はIPX8よりも深い水中で使えるのか?」という点です。

IPX9は、高圧・高温の水を勢いよく吹き付ける試験です。

一方、IPX8は機器全体を水中に沈め、
継続的に水圧がかかる状態を試験します。

強い水流を短時間受ける場合と、水中で継続的に水圧を受ける場合では、
機器にかかる負担が異なります。

IPX9は高圧・高温の水噴流、IPX8は継続的な水没に対する保護性能を示す等級です。

両方の試験条件を満たした機器では、
「IPX8/IPX9」のように併記される場合もあります。[1]

水中で使用する機器を選ぶ場合は、IPX8の水深や時間などの条件を確認します。

防水と完全防水の違い

製品に「防水」と書かれていても、対応する水の条件は製品によって異なります。

IP等級は、規格で定められた試験条件に基づく保護性能を示しています。

例えば、IPX7は一時的な水没に対する保護性能ですが、
長時間の水中使用を想定した等級ではありません。

実際にどのような環境で使えるかは、
防水等級と製品の取扱説明書を組み合わせて確認することが大切です。


実際にどう判断するのか

IP規格の見方が分かったところで、実際に製品を選ぶときの
判断方法を見ていきましょう。

大切なのは、使用する環境に合った防塵・防水性能を確認することです。

雨がかかる場所なのか、砂ぼこりが多い場所なのか、
水洗いや水没の可能性があるのかによって、必要な保護性能は異なります。

雨に濡れる場所で使う場合

屋外の監視カメラやセンサーライト、LED照明などは、
雨にさらされることがあります。

IPX4は、あらゆる方向からの水しぶきに対する保護性能を示しています。

そのため、雨がかかる場所で使用する製品を選ぶ際の判断材料になります。

ただし、雨の強さや設置場所によって、水の当たり方は変わります。

屋外に設置する場合は、メーカーが屋外使用に対応していると
案内している製品を選びましょう。

キッチン・洗面所で使う場合

キッチンや洗面所では、Bluetoothスピーカーや電動歯ブラシ、
シェーバーなどが使われています。

こうした場所では、水しぶきがかかったり、
誤って水に落としたりする可能性があります。

水しぶきへの対策なら、IPX4がひとつの目安になります。

一方、洗面台やシンクに落とす可能性がある場合は、
IPX7などの水没に対する保護性能も確認します。

また、浴室での使用や水洗いについては、
製品ごとに使用条件が定められています。

砂ぼこりの多い屋外で使う場合

屋外では、雨だけでなく、砂ぼこりや粉塵への対策も必要です。

例えば、工事現場や砂ぼこりが舞う場所では、
水に対する保護性能とあわせて、防塵等級も確認します。

  • IP54:有害な影響を及ぼす粉塵の侵入と、水しぶきへの保護
  • IP65:粉塵の侵入を防ぎ、噴流水への保護
  • IP67:粉塵の侵入を防ぎ、一時的な水没への保護

このように、IPコードの左側と右側を組み合わせることで、
使用環境に必要な保護性能を確認できます。

水洗いしたい場合

Bluetoothスピーカーや懐中電灯など、
汚れたときに水洗いしたい製品もあります。

ここで確認したいのが、水の当たり方によって必要な防水等級が異なることです。

IPX4は水しぶき、IPX5・IPX6は噴流水に対する保護性能を示しています。

一方、IPX7・IPX8は水没に対する保護性能です。

ホースなどで水をかける場合は、噴流水に対する保護性能を確認します。

実際に水洗いするときは、メーカーが指定する洗浄方法に従ってください。

水に落とす可能性がある場合

スマートフォンやワイヤレスイヤホンなどは、
誤って水に落としてしまうことがあります。

こうした場合は、水没に対する保護性能が判断材料になります。

  • IPX7:一定条件での一時的な水没に対する保護
  • IPX8:メーカーなどが定める条件での継続的な水没に対する保護

ただし、IPX7やIPX8の試験条件と、
実際に使用できる水深や時間は確認が必要です。

水に落とす可能性がある製品は、防水等級とあわせて、
メーカーが公表している水深・時間などの条件も確認しましょう。


水が入らないなら粉塵も入らないのでは?

水の侵入を防げる機器なら、細かな粉塵も防げるのではないか。

そう考えるのは自然なことです。

しかし、IP規格では、防塵性能と防水性能を別々の試験で評価しています。[1]

例えば、IPX7は一時的な水没に対する保護性能を示していますが、防塵等級は指定されていません。

一方、IP67は次の2つの保護性能を示しています。

  • 防塵等級6:規定の試験条件で粉塵の侵入を防ぐ
  • 防水等級7:一時的な水没に対する保護

つまり、IPX7とIP67の違いは、防塵性能も等級として示されているかどうかです。

水と粉塵では、侵入の仕方や試験条件も異なります。

そのため、砂ぼこりの多い場所などで使用する場合は、
水に対する保護性能だけでなく、防塵等級も確認することが大切です。

IP表示は、防塵と防水をそれぞれ分けて確認することが基本です。


IP規格で大切なのは使用環境に合った等級を選ぶこと

IP規格は、機器の外装が固形物や水の侵入に対して、
どの程度保護されているかを示す規格です。

IPコードを見るときは、次のように読み取ります。

  • 左側の数字:防塵等級(0〜6)
  • 右側の数字:防水等級(0〜9)
  • Xの表示:その項目の等級が指定されていない

例えば、IP67は防塵等級6と防水等級7を示し、
IPX4は水しぶきに対する保護性能を示しています。

また、2026年のJIS C 60529では、
高圧・高温の水噴流に対する防水等級9が追加されました。

ここで覚えておきたいのが、防水等級は数字の大きさだけで比較するものではないということです。

IPX7・IPX8は水没、IPX9は高圧・高温の水噴流に対する保護性能を示しています。

IPX9は、IPX8より深い水中で使えることを意味する等級ではなく、
水の当たり方が異なる試験です。

製品を選ぶときは、実際に使用する環境を考えることが大切です。

例えば、

  • 雨や水しぶきがかかる場所:IPX4などが判断材料になります。
  • 砂ぼこりの多い場所:防塵等級を確認します。
  • 水洗いしたい場合:水の当たり方に応じた防水等級と、メーカーが指定する洗浄方法を確認します。
  • 水に落とす可能性がある場合:IPX7・IPX8など、水没に対する保護性能を確認します。

同じ防水製品でも、雨に濡れる場合と水中で使う場合では、
必要な性能が異なります。

IP等級の意味を理解し、製品の取扱説明書と照らし合わせることで、
使用環境に合った製品を選べるようになります。


参考資料

[1]日本規格協会
JIS C 60529:2026「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」

[2]日本規格協会
電気製品の防水性能はどう変わる?IPX9の追加と国際規格への整合について【JIS C 60529:2026】


関連用語

-環境・使用条件