仕様・構造・機構

密閉構造とは?防水・防塵との違いと、どこまで防げるかの確認方法

機器の仕様に「密閉構造」と書かれていると、

  • 水も入らない
  • ほこりも入らない
  • 防水・防塵の両方に対応している

と思ってしまいますよね。

たしかに密閉構造は、
ケースの合わせ目や開口部から、
水やほこりが入りにくいようにした作りです。

しかし、
密閉構造だからといって、水やほこりの両方を防げるとは限りません。

密閉構造という言葉だけでは、

  • 何を防げるのか
  • どの程度まで防げるのか
  • どのような環境で使えるのか

までは分からないからです。

実際に使える環境を判断するには、
密閉構造という表記だけでなく、
IP等級や製品仕様まで確認する必要があります。

密閉構造と防水構造・防塵構造は何が違うのか、
どこを見れば防げる範囲が分かるのかを説明します。


密閉構造とは

密閉構造とは、
機器のすき間から、
水やほこりなどが入りにくいようにした作りです。

機器には、

  • ケースの合わせ目
  • カバーの周囲
  • ボタンやスイッチ
  • ケーブルの入口
  • 端子や接続部分

など、水やほこりが入りやすい場所があります。

こうした部分に、

  • パッキン:部品の間にはさんで、すき間を埋める部品
  • Oリング:溝にはめて使う、輪の形をしたゴム部品
  • ガスケット:ケースなどの合わせ面にはさんで使うシート状の部品
  • シール材:すき間に塗ったり流し込んだりして固める材料

などを使い、
水やほこりが内部へ入りにくいようにしています。

ここでいう「シール」とは、
すき間から水やほこりが入るのを抑える部品や処理のことです。

また、ケースを接着したり、
樹脂で固めたりして、
すき間そのものを減らす方法もあります。

密閉構造と聞くと、
完全にすき間がない作りを想像するかもしれません。

ただ、密閉する場所や方法は、
製品によって違います。

何をどの程度防げるのかは、
「密閉構造」という言葉だけでは分かりません。


密閉構造なら防水・防塵になるのか

密閉構造と書かれていると、
水もほこりも入らないように感じます。

しかし、
密閉構造は水やほこりが入りにくくなるようにした作りであり、
防水・防塵性能そのものを表す言葉ではありません。

密閉する目的は、
すべて同じではありません。

  • 水の侵入を抑えるため
  • ほこりの侵入を抑えるため
  • 水とほこりの侵入を抑えるため
  • 特定の部品だけを保護するため

密閉構造でも、何をどこまで防げるかは製品によって違います。

また、

  • 端子カバーを閉じた状態
  • 指定された向きで使った状態
  • 決められた水圧や時間の範囲
  • パッキンが正しく取り付けられた状態

など、こうした条件で使ったときに、
性能が保たれる製品もあります。

そのため、
密閉構造だからといって、水やほこりの両方を防げるとは限りません。

防水・防塵性能を知りたいときは、
密閉構造という表記だけでなく、
IP等級や製品仕様まで確認する必要があります。


密閉構造と防水構造・防塵構造の違い

密閉構造、防水構造、防塵構造は、
似た意味に見えますが、
表しているものが少し違います。

密閉構造は、
機器のすき間から水やほこりなどが入りにくいようにした作りです。

一方で、防水構造と防塵構造は、
何の侵入を抑えるための作りなのかを表しています。

  • 密閉構造:機器のすき間から、水やほこりなどが入りにくいようにした作り
  • 防水構造:水の侵入を抑えることを目的とした作り
  • 防塵構造:ほこりや粉塵の侵入を抑えることを目的とした作り

防水構造では、

  • ケースの合わせ目にパッキンを入れる
  • 端子部分にカバーを付ける
  • 開口部にシール材を使う

といった方法があります。

防塵構造では、

  • ケースのすき間を小さくする
  • 開口部にフィルターを付ける
  • 端子やスイッチ部分を覆う

といった方法が使われます。

これらの方法には、
水とほこりの両方の侵入を抑えるものもあります。

たとえば、
ケースの合わせ目に取り付けたパッキンが、
水だけでなく、ほこりの侵入も抑えることがあります。

しかし、
同じ密閉方法が使われていても、防水と防塵の両方に対応できるとは限りません。

水に対する性能と、
ほこりに対する性能は別に確認する必要があります。

そのため、
「密閉構造」「防水構造」「防塵構造」という言葉だけで判断せず、
何に対する性能なのかは、製品仕様を見て確認する必要があります。


密閉構造はどこをどう密閉しているのか

機器には、
水やほこりが入りやすい場所がいくつかあります。

密閉構造では、
場所に合った部品や方法を使って、
水やほこりの侵入を抑えています。

ケースやカバーの合わせ目

ケースやカバーの合わせ目は、
部品同士の間にすき間ができやすい場所です。

この部分には、

  • パッキン
  • Oリング
  • ガスケット
  • シール材

などが使われます。

パッキンやガスケットを部品の間にはさみ、
ケースを締め付けることで、
合わせ目から水やほこりが入りにくくなります。

Oリングは、
溝や接続部分に取り付けて使います。

パッキンがずれていたり、
締め付けが足りなかったりすると、
本来の密閉性能を保てないことがあります。

端子やケーブルの入口

充電端子やケーブルの入口も、
水やほこりが入りやすい場所です。

この部分には、

  • 端子カバー
  • ゴムキャップ
  • シールブッシュ:ケーブルを通す穴のすき間を埋めるゴム部品
  • ケーブルグランド:ケーブルを固定しながら、入口のすき間を密閉する部品
  • 樹脂による封止:ケーブルの周囲に樹脂を流し込み、すき間を固める方法

などが使われます。

端子カバーやゴムキャップは、
閉じた状態で水やほこりの侵入を抑えます。

そのため、
カバーが開いていたり、
正しくはまっていなかったりすると、
密閉性能を保てません。

ケーブルを本体から直接出す製品では、
ケーブルの周囲をゴムや樹脂で覆い、
すき間から水やほこりが入りにくいようにしています。

ボタンやスイッチなどの可動部

ボタンやスイッチ、回転軸は、
動かす必要があるため、
すき間ができやすい部分です。

このような場所には、

  • ゴムで覆ったボタン
  • 軸シール:回転軸の周囲に取り付け、水やほこりの侵入を抑える部品
  • 防水用に作られたスイッチ
  • 複数のシールを組み合わせた構造

などが使われます。

たとえば、
ボタン全体をゴムで覆うことで、
ボタンを押せる状態を保ちながら、
すき間から水やほこりが入りにくくなります。

回転軸では、
軸の周囲にシールを取り付けて、
回転できる状態を保ちながら、
水やほこりの侵入を抑えます。

密閉する場所によって、
使われる部品や方法は違います。

そのため、
見た目だけでは、
どの程度の密閉性能があるのか判断できません。


密閉されていても水やほこりが入ることがある理由

密閉構造が使われていても、
いつでも同じ性能を保てるわけではありません。

水やほこりが入る原因には、

  • パッキンやシールの劣化
  • カバーの閉め忘れ
  • 部品のずれや変形
  • 想定を超える水圧や使用時間
  • 分解後の組み付け不良

などがあります。

パッキンやシールが劣化している

パッキンやOリングなどのゴム部品は、
長く使ううちに硬くなったり、
ひび割れたりすることがあります。

弾力がなくなると、
部品同士のすき間を十分に埋められません。

その結果、
合わせ目から水やほこりが入りやすくなります。

また、

  • 高温
  • 低温
  • 紫外線
  • 薬品

などによって、
劣化が早く進むこともあります。

カバーやキャップが正しく閉まっていない

端子カバーやゴムキャップは、
正しく閉じた状態で密閉性能を発揮します。

少し浮いていたり、
異物をはさんでいたりすると、
すき間ができてしまいます。

たとえば、

  • 充電端子のカバーが開いている
  • ゴムキャップが奥まではまっていない
  • 合わせ目に砂やほこりが付いている

といった状態です。

密閉部品が付いていても、
正しく閉じられていなければ性能を保てません。

ケースや部品が変形している

落下や強い衝撃によって、
ケースやカバーが変形することがあります。

見た目では分かりにくくても、
合わせ目にわずかなすき間ができると、
水やほこりが入りやすくなります。

ねじの緩みや締め付け不足によって、
パッキンが十分に押さえられていないと、
同じように水やほこりが入りやすくなります。

想定された条件を超えて使っている

密閉性能を保てる条件は、
製品ごとに決められています。

たとえば、

  • 水がかかる時間
  • 水の深さ
  • 水圧
  • 使用する向き
  • 使用温度

などです。

水しぶきに対応した製品でも、
水中で使えるとは限りません。

一時的な水没に対応していても、
長時間沈めたまま使えるとは限りません。

密閉構造があっても、
想定された条件を超えると水やほこりが入ることがあります。

分解後に正しく組み直されていない

電池交換や修理などで分解すると、
パッキンがずれたり、
シール材が傷んだりすることがあります。

ねじの締め付け方が違うだけでも、
合わせ目にかかる力が変わります。

分解できる製品でも、
組み直せば必ず元の密閉性能に戻るとは限りません。

メーカーが分解を認めていない製品は、
自分で開けないでください。


どこまで防げるか確認するときに見るもの

「密閉構造」と書かれていても、
その言葉だけでは、
どこまで水やほこりを防げるのか分かりません。

確認するときは、
次の項目を見ます。

  • IP等級
  • 防ぐ対象
  • 水深や水圧
  • 使用できる時間
  • 使用温度
  • カバーを閉じるなどの条件

IP等級を確認する

防水性能や防塵性能を確認するときは、
まずIP等級を見ます。

たとえばIP67なら、

  • 6:防塵等級
  • 7:防水等級

を表しています。

IPX4の場合は、
防水等級4は分かりますが、
防塵性能は表示されていません。

同じ密閉構造でも、
IP等級は製品によって違います。

IP等級の数字やXの意味については、
「IP規格とは?IPX4・IP67の違いと防塵・防水等級の見方をわかりやすく解説」で詳しく説明しています。

何を防ぐための構造なのか確認する

密閉構造が使われていても、
防ぐ対象は製品によって違います。

たとえば、

  • ほこり
  • 湿気
  • 薬品
  • ガス

などがあります。

水が入りにくい構造でも、
油や薬品に耐えられるとは限りません。

ほこりを防ぐ構造でも、
水没に対応しているとは限りません。

何を防ぐための密閉構造なのかを、
製品仕様で確認します。

水深や水圧を確認する

水に対応した製品でも、
どこまで水に耐えられるかは製品によって違います。

  • 水しぶき
  • 水流
  • 一時的な水没
  • 継続した水中使用

これらは同じ条件ではありません。

水没に対応している場合も、
使える水深や時間が決められています。

水洗いできるかどうかも、
密閉構造という言葉だけでは判断できません。

使用時間や温度を確認する

密閉性能には、
使用時間や温度の条件があります。

たとえば、

  • 水中で使える時間
  • 使用できる温度
  • 保管できる温度
  • 熱い水に対応しているか

などです。

常温の水に対応していても、
熱湯や蒸気に対応しているとは限りません。

長時間使い続ける場合も、
製品に書かれた条件を確認します。

密閉性能が保たれる条件を確認する

製品によっては、

  • 端子カバーを閉じる
  • ゴムキャップを正しく取り付ける
  • 指定された向きで使う
  • 分解しない
  • パッキンを定期的に交換する

といった条件があります。

これらの条件を守らないと、
表示されている性能を保てないことがあります。

「密閉構造」と書かれているかだけでなく、
何を、どの条件で防げるのかまで確認してください。


まとめ

密閉構造とは、
機器のすき間から水やほこりなどが入りにくいようにした作りです。

ただし、
「密閉構造」と書かれているだけでは、
どの程度の防水・防塵性能があるのかまでは分かりません。

製品によって、

  • 防ぐもの
  • 密閉する場所
  • 使われている部品
  • 水深や水圧
  • 使用できる時間
  • 使用温度

などの条件が違います。

また、
パッキンの劣化やカバーの閉め忘れ、
分解後の組み付け不良によって、
密閉性能が落ちることもあります。

どこまで水やほこりを防げるのか確認するときは、
密閉構造という言葉だけで判断せず、

  • IP等級
  • 製品仕様
  • 使用条件
  • カバーやパッキンの状態

まで確認します。

実際に使える環境は、
これらを確認したうえで判断してください。


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