エアコンで温度を25℃に設定したとします。
部屋の温度が30℃なら、
エアコンは部屋を冷やそうとして動きます。
部屋の温度が25℃に近づくと、
冷房を弱めたり、
運転を調整したりします。
このように、
決められた条件や今の状態に合わせて、
機器の動きを変える仕組みが制御です。
制御は、エアコンだけの話ではありません。
- 炊飯器が、温度や時間に合わせて加熱を変える
- 扇風機が、設定された風量に合わせてモーターを回す
- 充電器が、電池の状態に合わせて充電を調整する
- プリンターやロボットが、位置を見ながら動きを変える
こうした動きにも、制御が使われています。
ただ、機器の説明や仕様書を見ると、
制御の話にいろいろな言葉が出てきます。
- PID制御
- フィードバック制御
- マイコン制御
- IC制御
- アナログ制御
- デジタル制御
名前だけを見ると、
どれも似たような言葉に見えます。
でも、この6つは、
全部が同じ意味ではありません。
エアコンの例で考えると、
「温度の情報をどう扱うか」という話もあれば、
「専用ICやマイコンなど、何を使って制御しているか」
という話もあります。
また、
「目標の25℃に近づけるために、
どのように冷房を強めたり弱めたりするか」
という話もあります。
つまり、同じ「制御」という言葉が入っていても、
それぞれどこを見ている言葉なのかが違います。
この記事では、
まず制御そのものの考え方を身近な例で確認しながら、
PID制御、フィードバック制御、マイコン制御、IC制御、
アナログ制御、デジタル制御が
それぞれどこを見ている言葉なのかを分けていきます。
制御とは、条件に合わせて動きを変える仕組み
制御は、
機器が今の状態や設定をもとに、
動きや出力を変える仕組みです。
エアコンなら、
設定温度と部屋の温度を見て、
冷房を強めたり、弱めたり、止めたりします。
たとえば、
設定温度が25℃で、
部屋の温度が30℃なら、
エアコンは部屋を冷やそうとして動きます。
部屋の温度が25℃に近づくと、
同じ強さで冷やし続ける必要はありません。
そこで、
冷房を弱めたり、
運転を調整したりします。
このように、
今の状態や設定に合わせて、必要な動きに変えることが制御です。
制御は「入力・処理・出力」で見ると分かりやすい
制御は、
次の3つに分けると分かりやすくなります。
- 入力
- 処理
- 出力
入力は、
機器が受け取る情報です。
エアコンなら、
次のような情報が入力になります。
- 設定温度が25℃
- 部屋の温度が30℃
- 部屋の温度が25℃に近づいた
処理は、
入力された情報をもとに、
どう動かすかを決める部分です。
エアコンなら、
次のように判断します。
- まだ温度が高いから冷房を強める
- 25℃に近づいたから冷房を弱める
- 温度が上がったからまた冷やす
出力は、
実際に機器を動かすための信号や動作です。
エアコンなら、
冷房を強める、弱める、止める、
風量を変えるといった動きが出力にあたります。
流れで見ると、こうなります。
- 入力:設定温度や現在の温度を受け取る
- 処理:どう動かすかを決める
- 出力:冷房や風量を変える

この考え方は、
エアコン以外の機器でも同じです。
炊飯器なら、
温度や時間をもとに、
加熱の強さを変えます。
扇風機なら、
設定された風量に合わせて、
モーターの回り方を変えます。
充電器なら、
電池の状態を見ながら、
充電の強さを調整します。
つまり制御とは、
入力を受け取り、処理し、出力を変える仕組みです。
この基本が分かると、
アナログ制御、デジタル制御、IC制御、マイコン制御、
フィードバック制御、PID制御の違いが分かりやすくなります。
制御方式は同じ種類の言葉ではない
制御の基本は、
入力を受け取り、処理し、出力を変える仕組みです。
ただ、機器の説明や仕様書を見ると、
制御に関係する言葉がいくつも出てきます。
- アナログ制御
- デジタル制御
- IC制御
- マイコン制御
- フィードバック制御
- PID制御
名前だけを見ると、
どれも同じような制御方式に見えます。
でも、この6つは、
全部を同じ並びで比べる言葉ではありません。
エアコンの例で考えると、
制御の中には、いくつかの見方があります。
- 温度の情報を、機器の中でどんな形で扱うか
- 制御を担当している部品や仕組みは何か
- 25℃に近づけるために、どう運転を調整するか
この3つを分けると、
それぞれの言葉がどこを見ているのかが
分かりやすくなります。

アナログ制御とデジタル制御は、情報の扱い方を見る言葉
エアコンは、
部屋の温度をもとにして動きを変えます。
ただ、機器の中では、
温度の情報を人間のように見ているわけではありません。
温度の変化を、
電気信号として扱ったり、
数値データとして扱ったりします。
この違いに関係するのが、
アナログ制御とデジタル制御です。
アナログ制御では、
温度の変化のような連続した情報を、
連続的に変化する電気信号として扱います。
温度が少しずつ変われば、
それに合わせて信号も少しずつ変わります。
デジタル制御では、
温度などの情報を、
数値データとして扱います。
たとえば、
現在の温度を数値として読み取り、
その数値を制御に使います。
ここで見ているのは、
冷房を強めるか弱めるかの話ではありません。
また、
どの部品が制御しているかの話でもありません。
温度などの情報を、機器の中でどんな形で扱っているか
という話です。
IC制御とマイコン制御は、制御を担当する部品や仕組みを見る言葉
IC制御とマイコン制御は、
少し分かりにくい言葉です。
なぜなら、
マイコンもICの一種だからです。
ICとは、
電子回路を小さな部品の中にまとめたものです。
ICには、いろいろな種類があります。
- 電源を制御するIC
- モーターを動かすIC
- 信号を処理するIC
- 表示を制御するIC
- マイコン
つまり、ICはかなり広い言葉です。
その中でマイコンは、
制御に使われる小さなコンピュータのようなICです。
マイコンは、
あらかじめ入れられた手順にしたがって、
入力を受け取り、出力を変えます。
この「あらかじめ入れられた手順」が、
プログラムです。
そのため、厳密に言えば、
IC制御とマイコン制御を完全な別物として分けるとズレます。
マイコン制御も、
広い意味ではICを使った制御に含まれます。
ただ、製品説明や仕様書では、
IC制御とマイコン制御が
分けて書かれることがあります。
このときは、
次のような違いを見ています。
- 専用ICなどで制御しているのか
- マイコンがプログラムにしたがって制御しているのか
エアコンでいえば、
温度の情報を受け取ったあと、
機器の中では次のような動きを決める必要があります。
- 冷房を強める
- 冷房を弱める
- 運転を止める
- 風量を変える
このような制御を、
専用ICなどで行うものを
IC制御と呼ぶことがあります。
一方で、
マイコンが入っていて、
あらかじめ決められた手順にしたがって処理するものを
マイコン制御と呼ぶことがあります。
ここで見ているのは、
温度の情報そのものではありません。
また、
25℃に近づけるための調整方法そのものでもありません。
制御を担当している部品や仕組みが何か
という話です。
フィードバック制御とPID制御は、目標に近づける調整を見る言葉
最後に見るのは、
目標の状態にどう近づけるかです。
エアコンなら、
設定温度を25℃にしたとき、
部屋の温度を25℃に近づけようとします。
部屋の温度が30℃なら、
冷房を強めます。
25℃に近づいてきたら、
冷房を弱めます。
また温度が上がれば、
もう一度冷やします。
このように、
結果を見ながら目標に近づける考え方が
フィードバック制御です。
フィードバック制御では、
「今の状態」と「目標の状態」の差を見ます。
エアコンなら、
今の部屋の温度と、
設定温度25℃との差です。
その差を見ながら、
冷房を強めるか、弱めるかを決めます。
PID制御は、
このフィードバック制御の中で使われる
調整方法のひとつです。
たとえば、
部屋がまだかなり暑いなら、
冷房を強めに動かす必要があります。
でも、25℃に近づいているのに
強く冷やし続けると、
今度は冷えすぎることがあります。
そこで、
今どれくらい目標から離れているのか、
目標との差がどれくらい続いているのか、
温度がどんな速さで変わっているのかを見て、
出力の変え方を決めます。
このように、
目標値との差をもとに、
出力をどれくらい変えるかを決める代表的な方法が
PID制御です。
ここではまず、
PID制御はフィードバック制御の中で使われる
出力の調整方法だと見れば大丈夫です。
比例(P)、積分(I)、微分(D)の詳しい意味は、
後の見出しで分けて説明します。
アナログ制御とデジタル制御の違い
アナログ制御とデジタル制御は、
どちらも機器を制御する仕組みです。
違うのは、
情報を機器の中でどう扱うかです。
エアコンで考えると、
部屋の温度は少しずつ変わっています。
30℃だった部屋が、
いきなり25℃になるわけではありません。
30℃、29.9℃、29.8℃、29.7℃のように、
少しずつ変わっていきます。
このように、
現実の温度はなめらかに変わります。
アナログ制御は、変化をつながった信号として扱う
アナログ制御では、
温度のように少しずつ変わる情報を、
連続して変わる電気信号として扱います。
温度が少し変われば、
それに合わせて信号も少し変わります。
イメージとしては、
温度の変化をそのままなめらかに追いかける感じです。
ただし、アナログ信号は、
ノイズや部品のばらつき、
温度変化、電源の変動などの影響を受けます。
その影響が大きいと、
制御の精度や安定性に影響します。
だからといって、
アナログ制御は精度が悪い
という意味ではありません。
アナログでも、
回路設計や部品精度、ノイズ対策がしっかりしていれば、
高い精度で制御できます。
デジタル制御は、読み取った値を数字として扱う
デジタル制御では、
温度などの情報を決められたタイミングで読み取り、
数値データとして扱います。
たとえば、
エアコンが温度を一定間隔で読み取るとします。
- 1回目:30.0℃
- 2回目:29.8℃
- 3回目:29.5℃
- 4回目:29.2℃
このように、
読み取った値を数字として使います。
ここで大事なのは、
小数で表せるかどうかが違いではない
ということです。
デジタルでも、
25.0℃、25.1℃、25.2℃のように
細かい数字を扱うことはあります。
違うのは、
アナログが連続した変化を信号として扱うのに対して、
デジタルは読み取った値を数値データとして扱うことです。
デジタル制御が多い理由
今の機器では、
デジタル制御が使われることが多くなっています。
理由は、
デジタル制御の方が、
読み取った情報を数字として扱いやすいからです。
数字として扱えると、
次のようなことがしやすくなります。
- 条件ごとに動きを変える
- 設定値と比べる
- 表示する
- 記録する
- 補正する
- 複雑な制御を作る
たとえばエアコンなら、
現在の温度と設定温度を比べるだけでなく、
運転モードや時間、センサーの情報なども組み合わせて、
冷房をどう動かすかを決めやすくなります。
ただし、
デジタル制御にも注意点があります。
読み取る間隔が粗いと、
変化に気づくのが遅れます。
数値の細かさが足りないと、
細かい変化を扱いにくくなります。
そのため、
デジタル制御では次のような条件も関係します。
- 読み取る間隔
- 分解能
- 処理速度
- 制御周期
- センサーの精度
アナログ制御が不要になったわけではない
デジタル制御が多いからといって、
アナログ制御やアナログ回路が不要になったわけではありません。
現実の温度、電圧、音、圧力などは、
もともと連続的に変わります。
そのため、
機器の中ではアナログ的な処理が必要になる部分があります。
たとえば、
次のような部分です。
- センサーから出る信号を受け取る部分
- 小さな信号を整える部分
- ノイズを減らす部分
- 電源の電圧や電流を調整する部分
- 音声信号を扱う部分
つまり、
今の機器は、
デジタルだけで動いているわけではありません。
アナログで受け取る部分と、
デジタルで処理する部分が、
役割を分けて使われることがあります。
アナログ制御とデジタル制御の違いを一言でいうと
アナログ制御とデジタル制御の違いは、
どちらが上か下かではありません。
違いは、
情報の扱い方です。
- アナログ制御:連続して変わる信号として扱う
- デジタル制御:読み取った値を数値データとして扱う
アナログ制御は、
連続した変化を扱いやすい一方で、
ノイズや部品特性の影響を受けるため、
回路設計や部品精度が重要になります。
デジタル制御は、
数値データとして扱いやすく、
条件分けや補正に向いていますが、
読み取る間隔や分解能に左右されます。
だから、
アナログは古い、デジタルは正確
という単純な話ではありません。
機器の中で、
情報をどう扱っているのかを見ることが大事です。
IC制御とマイコン制御の違い
IC制御とマイコン制御は、
少し分かりにくい言葉です。
理由は、
マイコンもICの一種だからです。
そのため、
「IC制御」と「マイコン制御」を
完全な別物として見ると、かえって分かりにくくなります。
まず、ICはかなり広い言葉です。
ICとは、
電子回路を小さな部品の中にまとめたものです。
日本語では、
集積回路といいます。
ICには、いろいろな種類があります。
- 電源を制御するIC
- モーターを動かすIC
- 信号を処理するIC
- 表示を制御するIC
- マイコン
つまり、
マイコンも大きく見ればICに含まれます。
では、なぜ製品説明や仕様書では、
IC制御とマイコン制御が
分けて書かれることがあるのでしょうか。
ここで見ているのは、
「ICかマイコンか」という単純な話ではありません。
- 専用ICなどで制御しているのか
- マイコンがプログラムにしたがって制御しているのか
この違いを見るために、
分けて書かれることがあります。
IC制御とは
IC制御とは、
制御用のICなどが信号を処理し、
機器の動きを制御する方式です。
エアコンで考えると、
温度の情報を受け取ったあと、
中の制御用ICが次のような動きに関係します。
- 冷房を強める
- 冷房を弱める
- 運転を止める
- 風量を変える
もちろん実際の機器では、
1つのICだけで全部を行うとは限りません。
周辺の回路や他の部品と組み合わせて、
制御信号を作り、
機器を動かします。
IC制御で大事なのは、
制御を行う中心に、制御用ICなどの回路がある
という見方です。
IC制御は、
次のような部分に関係します。
- 電源制御
- モーター制御
- 表示制御
- 信号処理
- 制御信号の生成
たとえば、
電源制御では、
出力を安定させたり、
必要な電圧に調整したりします。
モーター制御では、
モーターを動かすための信号に関係します。
表示制御では、
画面の表示を切り替えたり、
ランプを点灯させたりする回路に関係します。
マイコン制御とは
マイコン制御とは、
マイコンが入力された情報を受け取り、
決められた手順にしたがって機器を制御する方式です。
マイコンは、
制御に使われる小さなコンピュータのようなICです。
ここでいう手順とは、
機器の中に入っている制御用のプログラムです。
エアコンで考えると、
マイコンは次のような情報を受け取ります。
- 設定温度
- 現在の室温
- 運転モード
- タイマー設定
- センサーからの情報
そして、
その情報をもとに、
どう動かすかを決めます。
- 冷房を強める
- 冷房を弱める
- 風量を変える
- 表示を切り替える
- 条件に合わせて運転を変える
マイコン制御で大事なのは、
入力された情報をもとに、手順にしたがって処理する
という見方です。
そのため、マイコン制御は、
条件ごとに動きを変える機器と相性があります。
たとえば、
温度、時間、モード、センサー情報などを組み合わせて、
動きを変えるような機器です。
IC制御とマイコン制御は何が違うのか
IC制御とマイコン制御の違いは、
ざっくり言えば、
制御を担当している部品や仕組みの違いです。
ただし、
ここでもう一度注意が必要です。
マイコンもICの一種です。
なので、
「IC制御」と「マイコン制御」は、
完全に別々の分類ではありません。
製品説明や仕様書で分けて書かれるときは、
次のような意味で見ます。
- IC制御:制御用ICなどの回路を中心に制御している
- マイコン制御:マイコンが手順にしたがって制御している
この違いは、
温度の情報をどう扱うかの違いではありません。
また、
25℃に近づけるための調整方法そのものの違いでもありません。
見る場所は、
機器の中で、制御を担当している部品や仕組みです。
仕様書ではどこに出てくるか
IC制御やマイコン制御は、
製品説明だけでなく、
詳しい資料の中に出てくることがあります。
確認する場所としては、
次のような資料があります。
- 回路図
- システム構成図
- 制御仕様書
- 半導体仕様書
- ソフトウェア仕様書
- 制御ブロック図
表記としては、
次のような言葉が使われることがあります。
- IC Control
- Integrated Circuit Control
- Control IC
- Microcontroller Control
- MCU Control
- Microcomputer Control
ただし、
これらの表記があるだけで、
機器の性能や安定性が決まるわけではありません。
どの部品で、
どの条件で、
どのように制御しているかを見る必要があります。
IC制御を詳しく見る場合
IC制御を詳しく見る場合は、
制御用ICや周辺回路が
適切に動く条件を確認します。
関係する項目としては、
次のようなものがあります。
- 回路設計
- 動作電圧(V)
- 動作電流(A/mA)
- 動作周波数や制御周期
- 入力信号
- 周辺回路
ICは、
決められた電圧や電流の範囲で動きます。
その条件から外れると、
回路が正しく動かず、
制御信号にも影響することがあります。
流れで見ると、こうです。
- 電源に異常が出る
- 回路の動作が不安定になる
- 制御信号が乱れる
- 機器の動きに影響する
また、
入力信号が正しくない場合も、
ICの処理結果がずれることがあります。
- 入力信号に異常が出る
- 回路処理がずれる
- 制御信号がずれる
- 機器の動きに影響する
IC制御では、
ICそのものだけでなく、
周辺の回路や電源条件もあわせて見る必要があります。
マイコン制御を詳しく見る場合
マイコン制御を詳しく見る場合は、
マイコンそのものの性能や、
処理の条件が関係します。
設計や詳しい仕様を確認する場合は、
次のような項目が関係します。
- 処理速度
- メモリ容量
- 入出力数
- 制御周期
- プログラムの内容
- 入力信号
たとえば、
処理が遅れると、
制御信号を出すタイミングも遅れます。
流れで見ると、こうです。
- 処理が遅れる
- 制御信号が遅れる
- 動きが不安定になる
また、
制御プログラムに問題があると、
出力の出し方がずれることがあります。
- プログラムの内容に問題がある
- 制御信号がずれる
- 機器の動きに影響する
入力信号が正しくない場合も同じです。
- 入力信号に異常が出る
- 処理結果がずれる
- 制御信号がずれる
- 機器の動きに影響する
マイコン制御では、
マイコンという部品だけでなく、
どんな情報を受け取り、どんな手順で処理しているか
を見ることが大事です。
IC制御とマイコン制御を一言でいうと
IC制御とマイコン制御は、
どちらも機器を制御する仕組みに関係します。
ただし、
ICとマイコンを完全な別物として見ると、
分かりにくくなります。
マイコンもICの一種です。
そのうえで、
製品説明や仕様書では、
次のように分けて書かれることがあります。
- IC制御:制御用ICなどの回路を中心にした制御
- マイコン制御:マイコンが手順にしたがって行う制御
つまり、
IC制御とマイコン制御は、
「完全に別物」というより、
制御を担当する部品や仕組みをどう見ているかの違い
として読むと分かりやすくなります。
フィードバック制御とPID制御の違い
フィードバック制御とPID制御は、
どちらも目標の状態に近づける制御に関係します。
ただし、
この2つは同じ意味ではありません。
- フィードバック制御:結果を見ながら目標に近づける制御
- PID制御:フィードバック制御の中で、出力の変え方を決める方法
エアコンでいえば、
部屋の温度を見ながら、
設定温度の25℃に近づけようとする考え方が
フィードバック制御です。
そのときに、
冷房をどれくらい強めるか、
どれくらい弱めるかを決める方法のひとつが
PID制御です。
つまり、
PID制御はフィードバック制御と別に並ぶ完全な別物ではなく、
フィードバック制御の中で使われる代表的な調整方法
として見ると分かりやすくなります。
フィードバック制御とは
フィードバック制御とは、
動かした結果を見て、
目標との差をもとに出力を変える制御です。
ここでいう結果とは、
機器を動かしたあとに実際に起きた状態です。
エアコンなら、
冷房を使った結果として、
部屋の温度がどう変わったかです。
たとえば、
設定温度が25℃で、
部屋の温度が30℃なら、
目標より5℃高い状態です。
このときは、
部屋を冷やすために冷房を強めます。
部屋の温度が26℃まで下がれば、
目標との差は小さくなります。
すると、
同じ強さで冷やし続ける必要はありません。
そこで、
冷房を弱めたり、
運転を調整したりします。
このように、
結果を見て、
目標との差を確認し、
出力を変えていくのがフィードバック制御です。
流れで見ると、こうなります。
- 目標値を決める
- 現在の状態を見る
- 目標値との差を見る
- 出力を変える
- 動いた結果をもう一度見る
- 必要ならまた出力を変える
エアコンなら、
次のような流れです。
- 設定温度を25℃にする
- 現在の室温を見る
- 25℃との差を見る
- 冷房を強める、弱める、止める
- 部屋の温度がどう変わったかを見る
- 必要ならまた出力を変える
最初に決めた通りに動かして終わりではありません。
実際にどうなったかを見て、
目標に近づくように出力を変えます。
たとえば、
同じように冷房を使っても、
部屋の冷え方はいつも同じではありません。
- 日差しが強い
- 人が多い
- ドアが開いている
- 外気温が高い
こうした条件があると、
部屋の温度の下がり方は変わります。
フィードバック制御では、
実際の結果を見ながら出力を変えるため、
こうした変化に対応しやすくなります。
フィードバック制御は、
次のような制御に関係します。
- 温度制御
- 速度制御
- 位置制御
温度制御なら、
設定温度に近づけるために使われます。
速度制御なら、
モーターの回転速度を目標に近づけるために使われます。
位置制御なら、
目標の位置に近づけるために使われます。
PID制御とは
PID制御は、
フィードバック制御で使われる代表的な調整方法です。
フィードバック制御では、
今の状態と目標の状態との差を見ます。
エアコンなら、
今の室温と設定温度25℃との差です。
ただ、差があると分かっただけでは、
まだ足りません。
次に必要なのは、
出力をどれくらい変えるかです。
冷房を少し強めるのか。
かなり強めるのか。
弱めるのか。
そのまま維持するのか。
この出力の変え方を決める代表的な方法が
PID制御です。
PID制御のPIDは、
次の3つを表します。
- P:比例
- I:積分
- D:微分
言葉だけ見ると難しく感じますが、
まずは次のように見ると分かりやすいです。
- P:今どれくらい目標から離れているかを見る
- I:目標との差がどれくらい続いているかを見る
- D:目標との差が変わる速さを見る
エアコンの例で見ると、
Pは「今、25℃からどれくらい離れているか」を見ます。
部屋の温度が30℃なら、
25℃より5℃高い状態です。
差が大きいほど、
冷房を強める方向になります。
Iは、
目標との差がどれくらい続いているかを見ます。
少しずつ目標に近づいていても、
長い時間ずっと目標から外れているなら、
そのズレを補うように働きます。
Dは、
目標との差がどんな速さで変わっているかを見ます。
エアコンでいえば、
25℃との差が急に小さくなっているなら、
部屋の温度は目標に近づいている状態です。
そのまま強く冷やし続けると、
25℃を通り過ぎて、
冷えすぎることがあります。
そこで、
目標との差が変わる速さを見て、
出力の変え方を調整します。
つまりPID制御は、
単に「暑いから冷やす」だけではありません。
今の差、差の積み重なり、差が変わる速さを見て、出力を調整する方法です。
P・I・Dをエアコンで見る
PID制御を、
もう少しエアコンの動きに近づけて見ると、
次のようになります。
設定温度が25℃で、
部屋の温度が30℃なら、
まだかなり暑い状態です。
このときは、
目標との差が大きいので、
冷房を強める必要があります。
これはPの考え方に近いです。
次に、
冷房を使っているのに、
部屋の温度がなかなか25℃に近づかないとします。
少しずつズレが残り続けているなら、
その分を補う必要があります。
これはIの考え方に近いです。
さらに、
部屋の温度が急に25℃へ近づいてきたとします。
このまま強く冷やし続けると、
25℃を通り過ぎて、
冷えすぎることがあります。
そこで、
目標との差が変わる速さも見て、
冷房の強さを調整します。
これはDの考え方に近いです。
まとめると、
PID制御では次の3つを見ています。
- P:今の差
- I:差の積み重なり
- D:差が変わる速さ
この3つを使って、
出力をどれくらい変えるかを決めます。
詳しい資料ではどこに出てくるか
フィードバック制御やPID制御は、
詳しい資料の中で確認できることがあります。
確認する場所としては、
次のような資料があります。
- 制御仕様書
- システム設計書
- 制御アルゴリズム説明
- 制御ソフト仕様
- 制御ブロック図
表記としては、
次のような言葉が使われることがあります。
- Feedback Control
- Closed Loop Control
- Feedback Loop
- PID Control
- PID Controller
- PID Algorithm
詳しい仕様を見る場合は、
次のような言葉が出てくることもあります。
- センサー精度
- 制御周期
- 応答速度
- ゲイン設定
- 制御対象の特性
これらは、
普通のユーザーが調整するための項目というより、
制御がどのように設計されているかを見るための項目です。
フィードバック制御とPID制御を一言でいうと
フィードバック制御は、
結果を見ながら目標に近づける制御です。
PID制御は、
フィードバック制御の中で、出力の変え方を決める代表的な調整方法です。
フィードバック制御は、
目標に近づける考え方です。
PID制御は、
その中で出力をどれくらい変えるかを決める方法です。
この関係で読むと、
2つの違いが分かりやすくなります。
制御方式は1つだけとは限らない
ここまで見ると、
アナログ制御、デジタル制御、IC制御、マイコン制御、
フィードバック制御、PID制御が
それぞれ別々の方式のように見えるかもしれません。
でも実際の機器では、
どれか1つだけが使われるとは限りません。
1つの機器の中で、
複数の制御方式が組み合わさっていることがあります。
たとえば、
温度などの情報を数値データとして扱い、
マイコンがその情報を処理し、
目標温度に近づけるためにフィードバック制御を行い、
その調整方法としてPID制御を使うことがあります。
この場合、
デジタル制御、マイコン制御、フィードバック制御、PID制御は
競合する言葉ではありません。
それぞれ、
見ている場所が違います。
- アナログ制御・デジタル制御:情報をどう扱うか
- IC制御・マイコン制御:制御を担当する部品や仕組みは何か
- フィードバック制御・PID制御:結果を見ながら目標に近づけ、出力をどう調整するか
そのため、
「マイコン制御だからフィードバック制御ではない」
という話ではありません。
「PID制御だからデジタル制御ではない」
という話でもありません。
制御方式の名前を見るときは、
その言葉が機器の中のどの部分を説明しているのかを
分けて読むことが大事です。
また、
制御方式名だけで性能が決まるわけではありません。
デジタル制御でも、
読み取る間隔やセンサーの精度によって、
制御の細かさは変わります。
マイコン制御でも、
どんな情報を受け取り、
どんな手順で処理しているかは機器によって違います。
PID制御でも、
どの対象を、
どの条件で、
どのように調整しているかまでは
名前だけでは分かりません。
つまり、制御方式を見るときは、
方式名そのものよりも、
何を見ている言葉なのかを分けることが大事です。