充電器や機器の商品説明で、
「USB PD対応」や「PPS対応」という表示を見かけることがあります。
「PDは急速充電のこと?」
「PDとPPSは何が違う?」
「充電器だけ対応していれば、どの機器でも速く充電できる?」
このような疑問を持つ人もいると思います。
この記事では、急速充電とUSB PD・PPSの関係、
急速充電に必要な機器・充電器・ケーブルの対応条件を説明します。
急速充電とは
急速充電とは、通常より大きな電力を使い、
バッテリーの充電時間を短くする仕組みです。
充電に使われる電力は、W(ワット)で表されます。
電力が大きいほど短時間で充電できる
機器が15Wの充電に対応している場合、
5Wより15Wで充電するほうが、
同じ時間でより多くの電力量を送れます。
ただし、実際に使われる電力は、
充電器に表示された最大出力だけでは決まりません。
実際に使われる電力の上限は、機器・充電器・ケーブルの対応範囲と、機器と充電器の両方が対応する急速充電規格によって決まります。
たとえば、次の組み合わせでは最大5Wです。
- 充電器:最大15W
- 機器:最大5W
- 実際に使われる電力:最大5W
反対に、機器が15Wに対応していても、
充電器が最大5Wなら、実際の充電も最大5Wです。
急速充電に必要な条件
急速充電を利用するには、
次の条件をそろえる必要があります。
- 機器が急速充電に対応している
- 充電器が必要な出力に対応している
- ケーブルが必要な電力を流せる
- 機器と充電器が共通の急速充電規格に対応している
いずれかが対応していない場合は、
急速充電にならず、低い電力で充電されることがあります。
充電速度はバッテリー残量や温度によって下がる
急速充電に必要な条件がそろっていても、
充電開始から完了まで最大電力が続くわけではありません。
充電速度が下がる主な状態は、次のとおりです。
- バッテリー残量が多い
- 本体やバッテリーの温度が高い
- バッテリーの温度が低い
- バッテリーが劣化している
これらの状態では、機器側が受け取る電力を抑えるため、
急速充電中でも充電速度が遅くなります。
USB PDとは
USB PDは「USB Power Delivery」の略で、
USB Type-Cを使って充電や給電を行う規格です。
スマートフォンやタブレットのほか、
ノートパソコンやモニターなどにも使われています。
USB PDで急速充電するには、機器と充電器がUSB PDに対応し、
両端がUSB Type-Cで必要な電力に対応したケーブルを使う必要があります。
機器と充電器が供給する電力を決める
USB PD対応の機器と充電器を接続すると、
両者が通信し、双方が対応できる範囲で充電に使う電力が決まります。
そのため、充電器に表示された最大出力が、
そのまま機器へ供給されるわけではありません。
たとえば、USB PD対応機器の入力仕様の最大値が
「9V・2A」と記載されている場合、
最大入力は次の式で求められます。
電力(W)=電圧(V)×電流(A)
9V×2A=18W
この機器を最大65WのUSB PD充電器につないでも、
機器が受け取れる上限が18Wであれば、
供給される電力は最大18Wです。
PD対応でも最大出力は製品ごとに異なる
USB PD対応の充電器でも、
供給できる最大電力は製品ごとに異なります。
また、複数の差し込み口(USBポート)がある充電器では、
差し込み口ごとに最大出力が異なることがあります。
複数の機器を同時に充電すると、
それぞれの差し込み口から供給できる電力が下がる製品もあります。
USB PD対応という表示だけでは、
実際に使われる電力は分かりません。
製品仕様では、次の項目を確認します。
- 機器の最大入力
- 使用する差し込み口の最大出力
- ケーブルの対応電力
USB PD対応の確認方法
機器や充電器のUSB PD対応は、
本体・説明書・パッケージ・製品ページにある表示で確認します。
表示例は、次のとおりです。
- USB PD対応
- Power Delivery対応
- PD入力
- PD出力
USB PDによる充電には、
両端がUSB Type-CのC-to-Cケーブルを使います。
ケーブルは、C-to-Cであることと、
充電に必要な電力に対応していることを確認します。
片側がUSB Type-Aのケーブルは、
USB PDによる充電には使えません。
PPSとは
PPSは「Programmable Power Supply」の略で、
USB PDによる充電を細かく調整する機能です。
充電器が出す電圧を細かく変え、
流せる電流の上限も機器に合わせて調整します。
PPSはUSB PDとは別の急速充電規格ではなく、USB PDに追加された機能です。
電圧と電流の条件を細かく調整する
一般的な固定電圧方式のUSB PDでは、
充電器が用意した決められた電圧の中から、
機器が使える条件を選んで充電します。
PPSでは、決められた電圧から選ぶのではなく、
充電器が対応する範囲内で、機器が必要とする電圧に合わせて細かく変更できます。
簡単に分けると、次の違いです。
- 固定電圧方式のUSB PD:決められた段階から選ぶ
- PPS:必要に合わせて細かく調整する
機器に合った電圧で充電できるため、
機器内部で電圧を変える負担が減り、
充電中の発熱を抑えられます。
PPSを利用する場合も、実際に使われる電力は、
機器・充電器・ケーブルの対応範囲によって決まります。
PPSを利用するための条件
PPSを利用するには、
次の条件をそろえる必要があります。
- 機器がPPSに対応している
- 充電器がPPSに対応している
- USB PDによる充電が成立している
- ケーブルが必要な電力に対応している
機器または充電器がPPSに対応していない場合、
PPSによる細かな調整は行われません。
機器と充電器がUSB PDに対応していれば、
PPSを使わないUSB PD充電になります。
ケーブルに「PPS対応」という区分はありません。
両端がUSB Type-Cで、
使用する電力に対応したケーブルを使います。
急速充電とUSB PD・PPSの関係
急速充電、USB PD、PPSは、
それぞれ指しているものが違います。
- 急速充電:通常より大きな電力を使い、充電時間を短くする方法
- USB PD:急速充電に使われる規格の一つ
- PPS:USB PDによる充電を細かく調整する機能
関係を順番にすると、次のようになります。
急速充電の規格の一つがUSB PDで、PPSはUSB PDに追加された機能です。
そのため、USB PDに対応している機器や充電器でも、
PPSには対応していない製品があります。
PPSを使うには、
機器と充電器の両方がPPSに対応している必要があります。
まとめ
急速充電は、通常より大きな電力を使って、
充電時間を短くする仕組みです。
USB PDは急速充電に使われる規格の一つで、
PPSはUSB PDによる充電を細かく調整する機能です。
USB PDで充電する場合は、
機器と充電器の対応規格・最大電力を確認し、
必要な電力に対応したC-to-Cケーブルを使います。
PPSを使う場合は、
機器と充電器の両方がPPSに対応している必要があります。