電気製品やコンセントの接地端子に、縦線と長さの違う3本の横線を、
円で囲んだ記号が表示されていることがあります。

これは、一般にアースマークと呼ばれる記号です。
このマークは、感電を防ぐためのアース線を接続する場所を示しています。
電気製品の内部で故障が起きると、本来は電気が流れない金属外装へ電気が伝わることがあります。
その状態で人が外装に触れると、感電する危険があります。
保護アースは、漏れた電気がアース線へ流れる経路を作り、感電の危険を減らすために使われます。
ここで扱うアースは、ノイズ対策などに使われるものではなく、
感電防止を目的とした保護接地(PE:Protective Earth)です。
この記事では、アースマークの意味や表示場所、
保護アースが感電を防ぐ仕組み、接続するときの注意点を説明します。
アースマークとは
アースマークは、感電防止のための保護アースを接続する端子を示す記号です。
正式には、国際規格IEC 60417-5019で定められている保護接地の記号です。[1]
形は、縦線と長さの違う3本の横線を、円で囲んだものです。
似た記号に、円のない接地記号もあります。
円のない記号は一般的な接地端子を示し、
円で囲まれた記号は感電防止のための保護接地端子を示します。
アースマークが端子の近くに表示されている場合は、
その端子が保護アースを接続する場所であることを表しています。
マークが示すのは端子の役割
アースマークは、製品全体の性能を示すものではありません。
マークが付けられた端子について、何を接続する場所なのかを示しています。
- アースマーク:保護アースを接続する端子を示す
- PE:Protective Earth(保護接地)の略
- 保護接地端子:感電防止のためにアース線をつなぐ端子
例えば、機器の背面に複数の端子が並んでいる場合でも、
アースマークを見れば、保護接地線を接続する場所を見分けられます。
この端子は、電源線や信号線を接続するためのものではありません。
アースマークが表示される場所
アースマークは、主に保護接地線を接続する場所の近くに表示されます。
例えば、次のような場所です。
- 機器背面の接地端子
- 電源入力端子の周辺
- 接地端子付きコンセント
- 金属外装につながる接地部分
- 端子台の保護接地端子
マークは、端子のすぐ近くに小さく表示されていることがあります。
機器によっては、端子のカバーを開けると確認できるものもあります。
アースマークを見つけたときは、どの端子を示しているのかまで確認することが大切です。
保護アースはどのように感電を防ぐのか
保護アースは、電気製品の金属外装などを、アース線を通じて接地する仕組みです。
正常に動作しているとき、
金属外装には危険な電気が伝わらないように絶縁が設けられています。
しかし、故障によって絶縁が傷むと、外装に電気が伝わる場合があります。
保護アースは、このような故障に備えて設けられています。[2]
金属外装へ電気が伝わることがある
電気製品の内部には、電気が流れる配線や部品があります。
通常は絶縁されているため、人が触れる金属外装へ電気が伝わらないようになっています。
しかし、次のような不具合が起きると、内部の通電部と金属外装がつながることがあります。
- 配線の被覆が破れる
- 絶縁部品が破損する
- 配線が外れて金属外装へ触れる
- 水分や汚れによって電気が漏れる
- 内部部品が変形して位置がずれる
このような状態では、本来は電気が流れない金属外装に電圧がかかる場合があります。
人がその外装へ触れると、人体を通って電流が流れ、感電につながる危険があります。
保護接地線が故障時の電流の通り道になる
金属外装が保護アースにつながっていれば、故障によって外装に電気が伝わったとき、
アース線を通じて電流が流れる経路ができます。
このような故障によって流れる電流を、故障電流といいます。
保護アースは、故障電流が人体ではなくアース線へ流れやすい経路を作ることで、
感電の危険を減らします。
また、設備によっては、次のような流れで保護装置が働きます。
- 内部の通電部が金属外装へ触れる
- 金属外装から保護接地線へ故障電流が流れる
- 設備の条件に応じて、ブレーカーや漏電遮断器などが作動する
- 保護装置が作動すると、電源が遮断される
ただし、故障の状態や設備の条件によって、保護装置の動作は異なります。
アース線をつないでいるだけで、
すべての故障時に必ず電源が切れるという意味ではありません。
アースマークが付いた端子は、感電の危険を減らすための電流経路を作る接続場所です。
アース線をつなぐだけで電源を切るわけではない
保護アースそのものが、機器の電源を切るわけではありません。
保護アースは、故障時に電流が流れる経路を作るものです。
実際に電源を遮断するのは、ブレーカーや漏電遮断器などの保護装置です。
保護装置には、それぞれ異なる働きがあります。
- ブレーカー:大きな電流が流れたときなどに回路を遮断する
- 漏電遮断器:本来の経路以外に電気が漏れたことを検知し、回路を遮断する
例えば、漏電遮断器が設置されている設備では、漏電によってアース線へ電流が流れると、
漏電遮断器が作動する場合があります。[3]
保護アースと保護装置は、それぞれ異なる役割で感電の危険を減らしています。
そのため、アース線が必要な機器では、
指定された接地端子へ正しく接続することが重要です。
アース線を接続していなくても、機器の電源が入り、
正常に動いているように見える場合があります。
しかし、その状態では、
故障時に必要な感電防止の仕組みが十分に働かないおそれがあります。
アースマークが使われる機器
アースマークは、感電防止のために保護アースを使う機器の接地端子などに表示されます。
日本で使われる機器には、保護アースを利用するクラスI機器やクラス0I機器があります。[4]
どちらも、電気が流れる部分を絶縁したうえで、
故障時の感電を防ぐために保護アースを使います。
クラスI機器とクラス0I機器の違い
クラスI機器とクラス0I機器は、保護アースの接続方法が異なります。
| 分類 | 保護アースの接続方法 |
|---|---|
| クラスI機器 | 接地極を持つプラグや、端子台などを通じて接続する |
| クラス0I機器 | 2極プラグとは別に、アース線や本体の接地端子を使って接続する |
例えば、クラスI機器では、接地極が組み込まれた3極プラグを使うものがあります。
この場合、対応するコンセントへ差し込むことで、電源と保護アースを接続できます。

一方、クラス0I機器では、2極プラグとは別にアース線が出ていたり、
本体に接地端子が設けられていたりします。
例えば、2極プラグから別にアース用の線が出ている製品では、
そのアース線をコンセントなどの接地端子へ接続します。
どちらも、故障時の感電を防ぐために保護アースを使う点は共通しています。
人が触れられる金属部分を持つ機器で使われる
保護アースは、人が触れられる金属部分を持つ電気製品などで使われます。
例えば、次のような製品です。
- 洗濯機
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- エアコン
- 金属外装の業務用機器
- 電源装置や測定機器
ただし、これらの製品がすべて同じ接続方法になっているわけではありません。
実際の保護方式や接続方法は、製品によって異なります。
また、金属外装を持っていても、二重絶縁や強化絶縁によって感電を防ぐ機器もあります。
そのため、製品の種類や外装の材質だけで、
保護アースが必要かどうかを判断することはできません。
電源プラグや接地端子、取扱説明書などを確認します。
正常時の電気を流す端子ではない
アースマークが付いた端子は、機器を動かすための電源端子ではありません。
通常、機器を動かすための電流は、電源線を通って流れます。
一方、保護接地線は、通常の電源電流を流すためのものではありません。
内部で故障が起きたときなどに、故障電流が流れる経路として働きます。
そのため、アース端子を電源線や中性線の代わりに使うことはできません。
アースマークが表示されている場合は、マークが示す端子を確認し、
製品の取扱説明書に従って接続します。
アースマークが見当たらない場合
製品にアースマークが見当たらなくても、
それだけで保護アースが不要とは判断できません。
製品によっては、電源プラグに接地極が組み込まれていたり、
本体からアース線が直接出ていたりします。
また、接地端子がカバーの内側などに設けられている場合もあります。
マークだけで接地の要否を決めない
保護アースが必要かどうかは、アースマークの有無だけで決めるものではありません。
次の部分も確認します。
- 電源プラグに接地極があるか
- 2極プラグとは別にアース線が出ているか
- 本体に接地端子があるか
- 電源入力部に保護接地端子があるか
- 取扱説明書に接地の指示があるか
例えば、接地極付きの3極プラグを使う製品では、
本体に独立したアース端子が見えない場合があります。
反対に、金属外装を持つ機器でも、
二重絶縁や強化絶縁によって感電を防ぐものがあります。
アースマークが見当たらない場合は、製品の表示と取扱説明書を確認してください。
アース線がある場合は接続先を確認する
2極プラグとは別にアース線が出ている場合は、指定された接地端子へ接続します。
ただし、アース線は、どの金属部分につないでも同じ働きをするわけではありません。
例えば、次のような場所へ接続してはいけません。
- 電源端子や中性線の端子
- 信号端子や通信端子
- 用途の分からないネジ
- 水道管
- ガス管
- 電話のアース線や避雷針
ガス管への接続は、ガス漏れや引火などの危険があります。
また、水道管には樹脂製の部分が使われていることもあり、
安全なアースとして利用できません。[5]
アース線は、保護接地用として設けられた端子へ接続する必要があります。
表示が分からない場合は説明書を確認する
アースマークが小さい場合や、接続する端子が分からない場合は、
製品の取扱説明書を確認します。
説明書では、次のような表現が使われることがあります。
- アース
- 接地
- 保護接地
- PE
- Protective Earth
- 接地線
- 保護接地線
製品によって、接続方法や必要な条件が指定されている場合があります。
また、コンセントにアース端子がない場合は、接地工事が必要になることがあります。
その場合は、販売店や電気工事店に相談してください。[5]
アースマークは接続場所を示す記号ですが、
実際の接続方法は製品の説明書に従うことが重要です。
アースマークの意味をまとめると
アースマークは、感電防止のための保護接地線を接続する端子を示す記号です。
保護接地を示すIEC 60417-5019の記号は、
縦線と長さの違う3本の横線を、円で囲んだ形をしています。
このマークが示しているのは、製品全体の性能ではなく、
保護アースを接続する端子の位置です。
保護アースは、故障によって金属外装へ電気が伝わったときに、
アース線へ電流が流れる経路を作り、感電の危険を減らします。
また、漏電遮断器などの保護装置と組み合わせて、故障時の電源遮断にも役立ちます。
アースマークが見当たらない場合でも、保護アースが不要とは判断できません。
電源プラグに接地極が組み込まれていたり、
別のアース線が設けられていたりする場合があります。
アースマークは、保護接地線を正しい端子へ接続するための識別記号です。
実際に接続するときは、製品の表示と取扱説明書を確認してください。
参考資料
[1]IEC 60417 – Graphical symbols for use on equipment(ISO公式案内)
保護接地端子を示す図記号(5019)と、一般的な接地端子を示す図記号(5017)の規格を確認。
図記号の形と用途は、松定プレシジョン「接地(アース)」でも確認。
[2]関西電気保安協会|漏電発生の仕組み
漏電が発生する仕組みと、保護アースによる感電防止の働きを確認。
[3]パナソニック|ブレーカーのはたらき:漏電
漏電遮断器の働きと、漏電時の電源遮断について確認。
[4]JEITA(電子情報技術産業協会)|保護クラス
クラスI機器・クラス0I機器・クラスII機器の基本的な違いを確認。
[5]パナソニック|電子レンジにアースは必要ですか
アース線の接続が必要な理由、接続してはいけない場所、アース端子がない場合の対応を確認。
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