端子・接続・通信

Bluetooth 5.0〜6.3の違い|互換性・音質・通信距離は変わる?

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イヤホンやスマホ、パソコンなどの仕様を見ると、
「Bluetooth 5.0」「5.1」「5.2」「5.3」「5.4」といった表示があります。

最近では、Bluetooth 6.0・6.1・6.2・6.3も公開されています。

数字が大きくなると新しい規格だと分かりますが、

5.0と5.4では何が違うのか
新しい方が音質は良くなるのか
通信距離は長くなるのか
古いスマホと新しいイヤホンでも接続できるのか

といった部分は、数字だけでは判断しにくいところです。

また、BluetoothのCore Specificationは、
5.4の次が6.0となっており、5.5〜5.9は公開されていません。

この記事では、Bluetooth 5.0から6.3までで何が変わったのかを比較しながら、
互換性・音質・通信距離を見るときに、どの部分を確認すればいいかをわかりやすく解説します。


Bluetooth 5.0〜6.3は何が違う?

Bluetoothの5.0・5.1・5.2・5.3・5.4・6.0・6.1・6.2・6.3は、
Bluetoothの基本仕様である「Core Specification」のバージョンを表しています。

新しいバージョンでは、通信方法や省電力性、位置・距離の測定、
セキュリティなどに関する機能が追加・改良されています。

主な違いを簡単に見ると、次のようになります。

バージョン主な追加・変更点
Bluetooth 5.0Bluetooth LEの通信速度向上や長距離通信に関する機能を追加
Bluetooth 5.1電波が来る方向を測定する「Direction Finding」などを追加
Bluetooth 5.2LE Audioの基盤となるIsochronous Channelsなどを追加
Bluetooth 5.3接続時の省電力性や通信効率を高める機能を強化
Bluetooth 5.4多数の機器と効率よく通信するPAwRや、広告データを暗号化する機能を追加
Bluetooth 6.02台の機器間の距離を高精度に測定するChannel Soundingなどを追加
Bluetooth 6.1Bluetooth機器を追跡されにくくするプライバシー機能などを強化
Bluetooth 6.2Bluetooth LEの最短接続間隔を短縮し、応答性を高める機能などを追加
Bluetooth 6.3Channel Soundingの測距精度や効率などをさらに強化

Bluetooth SIGでは、5.0から6.3までを
それぞれ正式なCore Specificationとして公開しています。[1]

ここで重要なのは、
「Bluetooth 5.4対応」「Bluetooth 6.0対応」と書かれているだけで、
そのバージョンで追加された機能をすべて使えると判断しないことです。

Bluetoothの機能には、
製品側で対応を選べるものがあります。

そのため、たとえばBluetooth 5.4対応イヤホンでも、
5.4で追加された機能がそのイヤホンの音質や通信距離に
直接使われているとは判断できません。

バージョン番号は「どのCore Specificationを基準にしているか」を見る数字で、
実際に使える機能は製品仕様で確認します。

このあと、5.0から順番に
何が変わったのかを見ていきます。


Bluetoothは1.xから始まり、5.x・6.xへ進化してきた

Bluetoothは、最初のBluetooth 1.xから始まりました。

その後、2.x・3.0・4.0・4.1・4.2と改良され、
現在の5.x・6.xへ続いています。

大まかな流れを見ると、次のようになります。

世代主な変化
Bluetooth 1.xBluetoothの初期世代。機器同士を無線で接続する基本的な仕組みを整備
Bluetooth 2.x通信速度や接続方法などを改良
Bluetooth 3.0高速なデータ通信に関する仕組みを追加
Bluetooth 4.0消費電力を抑えて通信するBluetooth LEを追加
Bluetooth 4.1・4.2Bluetooth LEの通信機能や効率を改良
Bluetooth 5.x通信速度・通信距離・位置測定・省電力性などを強化
Bluetooth 6.x距離測定やセキュリティ、通信効率などをさらに強化

Bluetooth SIGの公式なバージョン履歴でも、
Bluetooth 4.0でBluetooth LE(Low Energy)が加わり、4.1・4.2を経て5.0へ進んでいます。

Bluetooth LEは、
消費電力を抑えて通信するための仕組みです。

スマートウォッチやセンサーなど、
電池を長く使いたい機器でも利用されています。

現在のスマホやイヤホン、パソコンでは、
Bluetooth 5.x対応の製品を多く見かけ、6.x対応製品も登場しています。

Bluetooth 4.xの機器は5.xのスマホでも使える?

Bluetoothでは、古い世代で使われていた通信方法も引き継がれています。

そのため、Bluetooth 5.x対応のスマホと、
Bluetooth 4.xのイヤホンやキーボードを接続できる組み合わせもあります。

実際に接続できるかは、両方の機器が共通の通信方式やプロファイルに対応しているかで決まります。

たとえば、スマホがBluetooth 5.4、イヤホンがBluetooth 4.2でも、
音声通信に必要な共通のプロファイルに対応していれば接続できます。

製品を確認するときは、バージョン番号の新しさに加えて、
使いたい機能や対応プロファイルも確認します。

ここからは、現在の製品でよく見かける
Bluetooth 5.0・5.1・5.2・5.3・5.4で何が変わったのかを順番に見ていきます。


Bluetooth 5.0・5.1・5.2・5.3・5.4では何が変わった?

Bluetooth 5.0から5.4では、
通信速度や通信距離、位置の測定、省電力性、多数の機器との通信などが順番に改良されています。

大まかな違いを見ると、次のようになります。

バージョン主な変化
Bluetooth 5.0より速く通信する方法と、より遠くまで電波を届ける方法を追加
Bluetooth 5.1Bluetooth機器がある方向を測定する機能を追加
Bluetooth 5.2LE Audioにつながる新しい音声通信の仕組みを追加
Bluetooth 5.3消費電力や通信の効率・安定性を改善
Bluetooth 5.4多数の機器との通信や、送信するデータの保護を強化

これらはBluetooth SIGが公開するCore Specificationで追加された機能です。[2]

Bluetooth 5.0|通信速度と通信距離を強化

Bluetooth 5.0では、Bluetooth 4.0から使われている省電力通信の
Bluetooth LE(Low Energy)が大きく強化されました。

新しく追加されたのは、
より速くデータを送る方法とより遠くまで電波を届ける方法です。

より速く通信する方法は「LE 2M PHY」、
遠くまで通信しやすくする方法は「LE Coded PHY」と呼ばれます。

専門用語を覚えるより、

Bluetooth 5.0では「速く送る方法」と「遠くまで届ける方法」が追加された

と考えると分かりやすいです。

Bluetooth 5.1|Bluetooth機器がある方向を測定できる

Bluetooth 5.1では、
Bluetooth機器がどの方向にあるのかを測定する機能が追加されました。

正式には「Direction Finding」と呼ばれる機能です。

たとえば、施設内にあるタグや機器の場所を探したり、
人や物の位置を測定したりするシステムで利用できます。

イヤホンの音質を直接良くする機能ではなく、
Bluetoothを位置測定に利用するための機能強化です。

Bluetooth 5.2|LE Audioにつながる仕組みを追加

Bluetooth 5.2では、
一定のタイミングで音声などのデータを連続して送るための仕組みが追加されました。

この仕組みは「LE Isochronous Channels」と呼ばれ、
Bluetooth LEを使って音声を送るLE Audioの基盤になっています。

さらに、通信処理を効率化する機能や、
必要に応じて送信電力を調整する機能も追加されました。

Bluetoothイヤホンを見るときは、
「Bluetooth 5.2対応」と「LE Audio対応」を分けて確認します。

Bluetooth 5.3|省電力性と通信の効率を改善

Bluetooth 5.3では、
必要なときだけ通信を増やし、待機中は通信量を抑えるための仕組みが追加されました。

これにより、機器の動作に合わせて
消費電力を抑えながら必要な通信を行いやすくなっています。

また、周囲の電波状況を確認して、
Bluetooth通信に使うチャンネルをより効率よく選ぶための改良も加えられました。

人や無線機器が多い場所で通信するときの、
通信効率や接続の安定性に関係する改良です。

Bluetooth 5.4|多数の機器との通信やデータ保護を強化

Bluetooth 5.4では、
1台の機器から多数のBluetooth機器へ情報を送り、それぞれから応答を受け取る仕組みが追加されました。

この機能は「PAwR(Periodic Advertising with Responses)」と呼ばれます。

たとえば、店舗に大量に設置された電子棚札へ価格情報を送り、
それぞれの棚札から応答を受け取るような使い方ができます。

さらに、Bluetooth機器が周囲へ送信する広告データを暗号化する
Encrypted Advertising Dataも追加されました。

Bluetooth 5.4では、イヤホンだけを意識した改良より、
多数の機器をまとめて通信させる用途や、送信データを保護する機能が強化されています。

このようにBluetooth 5.0〜5.4は、
新しくなるたびに同じ部分だけが強化されているのではなく、バージョンごとに追加された機能が違います。

そのため、製品を見るときは
Bluetoothのバージョン番号と、実際に使いたい機能の対応状況を一緒に確認します。


Bluetooth 6.0・6.1・6.2・6.3では何が変わった?

Bluetooth 5.4の次に公開されたCore Specificationが、
Bluetooth 6.0です。

その後、6.1・6.2・6.3と更新され、
距離測定、プライバシー、反応速度、通信効率などが強化されています。[3]

バージョン主な変化
Bluetooth 6.0Bluetooth機器同士の距離を高精度に測定する機能を追加
Bluetooth 6.1Bluetooth機器を追跡されにくくするプライバシー機能を強化
Bluetooth 6.2通信する間隔を短くし、機器の反応速度を高める機能を追加
Bluetooth 6.3距離測定の精度・処理効率を改善し、今後の機能追加に対応する仕組みも拡張

Bluetooth 6.0|機器同士の距離を高精度に測定できる

Bluetooth 6.0では、
2台のBluetooth機器がどれくらい離れているかを測定する機能が追加されました。

正式には Channel Sounding(チャンネルサウンディング)と呼びます。

たとえば、スマートフォンとデジタルキー対応の車との距離を測ったり、
紛失防止タグとの距離を調べたりする用途で利用できます。

これまでの電波の強さを使った距離の推定よりも、
正確で安全な距離測定を行うために追加された機能です。

Bluetooth 6.0では、このほかにも通信の効率化や、
音声通信で遅延を抑えるための改良などが加えられています。

Bluetooth 6.1|Bluetooth機器を追跡されにくくする

Bluetooth機器では、プライバシーを守るために、
周囲へ知らせる機器のアドレスを定期的に変更する仕組みが使われています。

Bluetooth 6.1では、
このアドレスを変更するタイミングをランダムにする機能が追加されました。

正式には Randomized RPA Updates(ランダマイズドRPAアップデート)と呼びます。

変更するタイミングを予測しにくくすることで、
同じBluetooth機器を長時間追跡しにくくするための機能です。

また、アドレス変更の処理をBluetooth機器側で効率よく行い、
消費電力を抑えることにもつながります。

Bluetooth 6.2|通信間隔を短くして反応速度を高める

Bluetoothでは、接続した機器同士が、
一定の間隔でデータをやり取りします。

Bluetooth 6.2では、この間隔を短くできる
Shorter Connection Intervalsが追加されました。

従来の最短7.5msから、
最短0.375msまで短縮できます。[4]

ms(ミリ秒)は時間の単位で、
1msは1秒の1000分の1です。

つまりBluetooth 6.2では、
機器同士が通信する最短間隔を従来の20分の1まで短くできます。

マウスやゲームコントローラー、センサーなど、
操作や変化に素早く反応させたい機器で活用できる改良です。

また、Bluetooth 6.0で追加された距離測定についても、
不正な電波を使って距離を誤認させる攻撃への対策が強化されています。

Bluetooth 6.3|距離測定の精度と処理効率をさらに改善

Bluetooth 6.3では、
Bluetooth 6.0で追加されたChannel Soundingがさらに改良されています。

距離測定に使う情報を効率よく処理できるようになり、
測定精度の向上や処理するデータ量の削減につながる機能が追加されました。[5]

また、通信方法ごとに距離測定の精度を細かく扱えるようになり、
機器の能力に合わせて測定方法を選びやすくなっています。

Bluetoothの機能が今後さらに増えても対応できるように、
機器内部で使う命令やイベントを管理する仕組みも拡張されました。

Bluetooth 6.0〜6.3では、
距離測定・プライバシー・反応速度・通信効率など、それぞれ異なる部分が強化されています。

製品を見るときは、Bluetooth 6.xという数字とあわせて、
その製品がどの機能に対応しているかを確認します。


Bluetooth 5.5〜5.9はなぜない?

ここまでBluetooth 5.0〜6.3を見てきて、
最後に少し気になったので、Bluetooth 5.5〜5.9がない理由も調べてみました。

BluetoothのCore Specificationは、
5.4の次が6.0です。

Bluetooth SIGの公式なバージョン履歴では、
Bluetooth 5.4が2023年1月31日、6.0が2024年8月27日に採用されています。[6]

この間に、
Bluetooth 5.5・5.6・5.7・5.8・5.9は公開されていません。

Bluetoothのバージョン番号は、
0.1ずつ順番に増えていく形ではありません。

過去のバージョンを見ても、

Bluetooth 3.0 → 4.0
Bluetooth 4.2 → 5.0
Bluetooth 5.4 → 6.0

というように、大きく番号が変わっています。

では、なぜ5.4の次を6.0にしたのか。

Bluetooth SIGの公式資料で確認できるのは、
5.4の次に6.0が正式採用されたという履歴までです。

5.5〜5.9を使わず6.0にした理由については、
公式資料から明確な説明を確認できませんでした。

Bluetooth 6.0ではChannel Soundingなど、
複数の新しい機能が追加されています。

そのため、理由を推測して結び付けるより、
「Bluetooth 5.4の次に正式公開されたCore Specificationが6.0」と理解するのが正確です。


Bluetooth 5.0・5.1・5.2・5.3・5.4・6.xに互換性はある?

Bluetoothは、新しいバージョンでも
以前のBluetooth機器と接続できるよう、後方互換性を考えて作られています。

Bluetooth SIGでは、従来のBluetooth通信は1.1以降、
Bluetooth LEは4.0以降との後方互換性を求めています。[7]

そのため、

Bluetooth 5.4のスマホ × Bluetooth 5.0のイヤホン
Bluetooth 5.xのスマホ × Bluetooth 4.xのイヤホン

といった組み合わせでも、
両方の機器が共通の通信方式や機能に対応していれば接続できます。

新しい機能を使うには両方の機器の対応が必要

Bluetooth機器同士を接続すると、
両方が共通して対応している機能を使って通信します。

たとえば、スマホがBluetooth 5.4、
イヤホンがBluetooth 5.0の場合は、イヤホン側も対応している機能を使います。

Bluetooth 5.4で追加された新しい機能を使うには、
スマホとイヤホンの両方が、その機能に対応している必要があります。

つまり、スマホ側のBluetoothバージョンだけ新しくしても、
使える機能は接続する相手側の対応状況によって変わります。

接続するときはプロファイルも確認する

Bluetoothには、
音楽を聴く、通話する、機器を操作するといった用途ごとの通信ルールがあります。

この通信ルールをプロファイルと呼びます。

たとえば、ワイヤレスイヤホンで音楽を聴く場合と、
通話に使う場合では、利用するプロファイルが異なります。

Bluetooth機器を接続して使うには、
両方の機器が同じ用途に必要なプロファイルへ対応していることが重要です。

そのため、Bluetooth 5.3と5.4のようにバージョン番号が違っていても、
必要な通信方式とプロファイルが共通していれば接続できます。

製品を確認するときは、Bluetoothのバージョン番号とあわせて、
使いたい機能や対応プロファイルも確認します。


Bluetooth 5.0・5.2・5.3・5.4・6.xで音質は変わる?

Bluetoothイヤホンでは、
「Bluetooth 5.3なら5.0より音が良いのか?」と気になるところです。

実際に聞こえる音は、Bluetoothのバージョン番号より、
音声を送る方法やイヤホン側の音響設計によって大きく変わります。

Bluetoothで音楽を送るときは、
音声データを圧縮してスマホからイヤホンへ送ります。

この音声をどのような方法で圧縮して送るかを決める仕組みがコーデックです。

SBC・AAC・LDAC・aptXなどが、
Bluetoothイヤホンでよく見かけるコーデックです。

音質は対応コーデックやイヤホンの設計で変わる

たとえば、Bluetooth 5.0対応イヤホンと
Bluetooth 5.3対応イヤホンを比べたとします。

実際の音質は、対応コーデックやスピーカー部分、
イヤホンメーカーによる音の調整などによって変わります。

そのため製品を比較するときは、
Bluetoothのバージョンと対応コーデックを一緒に確認します。

Bluetooth 5.2ではLE Audioにつながる仕組みが追加された

Bluetooth 5.2では、Bluetooth LEを使って音声を送るための
LE Isochronous Channelsが追加されました。

この仕組みを利用した新しいBluetooth音声の方式が、
LE Audioです。[8]

LE Audioでは、音声を圧縮して送る方法として
LC3というコーデックが使われます。

LC3は、音質と消費電力の両立を考えて作られたコーデックです。

LE Audioを使うには両方の機器が対応する

LE Audioを使うには、
スマホとイヤホンの両方がLE Audioに対応していることが必要です。

製品仕様に「Bluetooth 5.3」と書かれている場合は、
「LE Audio」「LC3」などの対応表示も確認します。

Bluetoothイヤホンの音質を比較するときは、
対応コーデック、LE Audioへの対応、イヤホン自体の音響設計まで確認すると判断しやすくなります。


Bluetooth 5.0〜6.3で通信距離は変わる?

Bluetooth 5.0と6.3を比較すると、通信距離に関する機能にも違いがあります。

ただ、イヤホンで音楽を聴く場合、実際に音が届く距離は、
製品のアンテナや送受信性能によって変わります。

まず、5.0と6.3の違いを見てみましょう。

比較する内容Bluetooth 5.0Bluetooth 6.3
遠くまで通信する仕組み長距離通信の方法を追加5.0で追加された方法を引き継ぐ
機器同士の距離測定専用の高精度測距機能はなく、電波の強さなどから距離を推定対応機器では、より正確な距離測定が可能
イヤホンの音が届く距離製品の性能によって変わる製品の性能によって変わる

Bluetooth 5.0では遠くまで通信する方法が追加された

Bluetooth 5.0では、データを送る速度を抑える代わりに、
遠くまで電波を届けやすくする仕組みが追加されました。

これを LE Coded PHY と呼びます。

Bluetooth LEという省電力通信で使う機能で、
対応する機器同士なら、通信距離を伸ばすために利用できます。[9]

一般的なイヤホンの音楽再生では、Bluetooth Classicという
別の通信方式も使われています。

そのため、イヤホンの通信距離を比べるときは、
実際に使われる通信方式と製品の性能を確認します。

Bluetooth 6.3では距離を測る機能が進化した

Bluetooth 6.0では、2台の機器が何m離れているかを測る
Channel Sounding(チャンネルサウンディング)が追加されました。

6.3では、この距離測定の精度や処理効率がさらに改良されています。

たとえば、スマホと車のデジタルキーとの距離を測り、
車の近くにいるかを判断する用途などで活用できます。

ここで区別したいのは、次の違いです。

通信距離が長い → 遠くにある機器と通信できる

距離測定が正確 → 相手が何m離れているかを詳しく測れる

Bluetooth 6.3の距離測定の改良は、後者に関係する機能です。

イヤホンの通信距離はどこを見ればいい?

たとえば、Bluetooth 5.0対応イヤホンと
6.3対応イヤホンの製品仕様に、
どちらも「通信距離:約10m」と書かれている場合があります。

この場合は、6.3という数字の大きさよりも、
それぞれの製品に記載された通信距離を比較します。

実際の通信距離は、送信出力、受信性能、アンテナの設計、
壁や人体などによる電波の弱まり方で変わります。

製品を選ぶときは、仕様欄の
「通信距離」「最大通信距離」を確認します。

Bluetooth 5.0と6.3では追加された機能が異なりますが、
イヤホンの音が届く距離は製品ごとに比較するのが基本です。


Bluetoothイヤホンの音がブツブツ切れるのはなぜ?

Bluetoothイヤホンで音楽を聴いていると、突然音が途切れたり、
「ブツブツ」と音飛びしたりすることがあります。

原因を調べるときは、周囲の電波の混雑、スマホとの距離、
体やバッグによる電波の遮られ方を確認します。

人が多い場所ではBluetoothの電波が混雑しやすい

Bluetoothは2.4GHz帯の電波を使います。
同じ周波数帯には、ほかのBluetooth機器やWi-Fiもあります。

駅や満員電車、繁華街などでは、周囲で多くの無線機器が使われています。

同じタイミングで電波が重なると、送ったデータがうまく届かず、
イヤホンの音飛びや一時的な切断につながります。

Bluetoothには、混雑している電波の通り道を避けながら、
通信する周波数を自動で切り替える仕組みがあります。

これを Adaptive Frequency Hopping(適応周波数ホッピング)と呼びます。

周囲の通信状況に合わせて使う周波数を切り替え、
ほかの機器との電波干渉を減らすための仕組みです。

ただ、周囲の無線機器が多い場所では、音が途切れる原因になります。

スマホを入れるポケットやバッグも影響する

Bluetoothの電波は、人体や金属などによって弱くなります。

たとえば、スマホをズボンのポケットに入れていると、
スマホとイヤホンの間に自分の体が入ることがあります。

その状態で音が途切れるなら、スマホを手に持ち、
イヤホンに近づけて改善するか確認します。

手に持つと安定する場合は、体やバッグによって電波が弱くなっていた可能性があります。

自動ドアの近くや通行人の影響は?

自動ドアの近くで音が途切れる場合も、
その場所の無線設備や周囲の電波状況が確認するポイントになります。

また、Bluetoothイヤホンを使う人が大勢いる場所では、
ほかのBluetooth機器との電波干渉も原因の一つです。

特定の場所で毎回音が途切れるなら、
その場所を離れたときに改善するかを確認します。

音が途切れるときは何を試す?

原因を調べるなら、次の順番で確認すると分かりやすくなります。

  1. スマホをイヤホンに近づける
    体やバッグによって電波が弱くなっているか確認します。
  2. 人混みやWi-Fiが多い場所から離れる
    場所を変えて音が安定するなら、周囲の電波環境が原因として考えられます。
  3. イヤホンの設定を確認する
    音質優先・接続優先などの設定がある機種では、接続優先に変更して比べます。

自宅でも頻繁に切れる場合は、イヤホンとスマホの再接続や、
ソフトウェアの更新状況も確認します。

Bluetoothのバージョンが新しくても、周囲の電波環境やスマホの持ち方によって音の安定性は変わります。

音が途切れるときは、まず使っている場所とスマホの位置を変え、
どの条件で改善するかを確認するのが基本です。


Bluetooth 5.0〜6.3はどれを選べばいい?

Bluetooth機器を選ぶときは、使いたい機能に対応しているかを確認します。

たとえば、Bluetooth 5.0のイヤホンでも、
音質や接続の安定性に満足していれば、そのまま使い続けられます。

一方、新しいBluetoothでは、音声通信や距離測定、
省電力性などに関する機能が追加されています。

使う機器によって確認するポイントが違う

使いたい機器製品選びで確認すること
ワイヤレスイヤホン対応コーデック・LE Audio・音質・接続の安定性
通話用ヘッドセットマイク性能・周囲の雑音を抑える機能
ゲーム用イヤホン音の遅れを減らす低遅延モード・接続方式
マウス・キーボード接続の安定性・電池の持ち・反応速度
スマートウォッチスマホとの対応状況・電池の持ち
紛失防止タグ・デジタルキー距離測定機能・対応するスマホや機器

Bluetooth 5.0と5.4なら新しい方を選ぶ?

たとえば、同じ価格帯のイヤホンで、Bluetooth 5.0対応と
5.4対応が販売されていたとします。

5.4では省電力性や通信に関する機能が追加されていますが、
実際の音質や電池の持ち、接続の安定性は製品ごとに変わります。

音質を重視するなら対応コーデックや音響設計、
電池の持ちを重視するなら連続再生時間を比較します。

Bluetooth 5.4で追加された機能も、その機能を搭載した製品で利用できます。

Bluetooth 6.xを選ぶメリットは?

Bluetooth 6.xでは、高精度な距離測定やプライバシー保護、
通信の反応速度などが強化されています。

たとえば、Bluetooth 6.0で追加された
Channel Sounding(チャンネルサウンディング)は、
2台のBluetooth機器が何m離れているかを測定する機能です。

スマホと紛失防止タグの両方がこの機能に対応し、
使用するアプリも距離測定に対応していれば、
スマホからタグまでの距離を高精度に測定できます。

鍵やバッグに付けたタグが、スマホからどれくらい離れているかを
調べるような用途です。

一方、音楽を聴くためのイヤホンでは、
対応コーデックやLE Audio、音響設計、接続の安定性を優先して比較します。

Bluetooth SIGも、追加された機能の多くはメーカーが採用を選べるため、
製品ごとの対応機能を確認するよう案内しています。[10]

Bluetoothのバージョンは新しさを知るための目安です。

購入するときは、バージョン番号とあわせて、
使いたい機能が製品仕様に記載されているかを確認します。


参考資料

[1]Bluetooth SIG「Specifications and documents」
[2]Bluetooth SIG「The Bluetooth Low Energy Primer」
[3]Bluetooth SIG「Core Specification Change History」
[4]Bluetooth SIG「Bluetooth Core 6.2 feature overview」
[5]Bluetooth SIG「Bluetooth Core 6.3 technical overview」
[6]Bluetooth SIG「Bluetooth Core Specification 6.0 — Version History and Acknowledgments」
[7]Bluetooth SIG「Specification Management Process Document」
[8]Bluetooth SIG「Bluetooth LE Audio FAQs」
[9]Bluetooth SIG「Understanding Bluetooth Range」
[10]Bluetooth SIG「Why it is important to standardize communication for Bluetooth functionality」


関連用語

-端子・接続・通信