規格・基準・法律

IEC規格とは?意味と見方・IEC番号の読み方をわかりやすく解説

IEC規格とは?のアイキャッチ

製品の仕様書や取扱説明書で、「IEC 60335」「IEC 60529」といった表示を見かけることがあります。

IECは、電気・電子分野の国際規格を作成する組織です。

製品の安全性や性能、試験方法などについて、国際的に共通して利用できる技術的な基準を定めています。

規格にはそれぞれ番号が付けられており、番号によって扱う内容が異なります。

この記事では、IEC規格の意味や番号の読み方、公式サイトでの調べ方を解説します。

製品が規格に適合しているという表示の意味や、日本の法律との関係についても説明します。


IEC規格とは

IEC規格とは、電気・電子分野の安全性や性能、試験方法などについて定められた国際規格です。

IECは「International Electrotechnical Commission」の略で、日本語では「国際電気標準会議」と呼ばれます。

電気製品を安全に使用するための要求事項や、性能を共通の方法で評価するための試験条件などを定めています。

扱う内容は幅広く、次のようなものがあります。

  • 家庭用電気機器の感電や発熱などに関する安全要求事項
  • 電気機器の外装が、粉じんや水の侵入をどの程度防ぐかを示す保護等級
  • 電気機器が静電気などの影響を受けたときの試験方法

IEC規格は、製品の種類や目的に応じて分かれています。

それぞれの規格を区別するために使われるのが、「IEC 60335」「IEC 60529」などの規格番号です。


IEC番号は何を表している?

IEC規格には、それぞれを区別するための番号が付けられています。

代表的な規格には、次のようなものがあります。

規格番号主な内容
IEC 60335シリーズ家庭用電気機器などの安全性
IEC 60529外装による防じん・防水などの保護等級(IPコード)
IEC 61000シリーズ電磁両立性(EMC)に関する要求事項や試験方法

電磁両立性(EMC)とは、電気機器が周囲の機器に電磁的な悪影響を与えにくく、外部からの電磁的な影響にも適切に対応できる性質のことです。

IEC 61000シリーズには、静電気に対する試験方法を定めた「IEC 61000-4-2」などがあります。[4]

このように、規格番号から扱う分野や内容を確認できます。

番号の後ろに付く「-1」や「-2」は何?

IEC規格には、1つの規格シリーズを複数の部分に分けているものがあります。

家庭用電気機器などの安全規格であるIEC 60335シリーズを見てみます。

  • IEC 60335-1:家庭用電気機器などに共通する安全要求事項
  • IEC 60335-2-24:冷蔵庫や製氷機などに関する個別の安全要求事項

IEC 60335-1の「-1」は、第1部を表しています。

IEC 60335-2-24の「-2-24」は、第2-24部を表します。

第1部で共通する要求事項を定め、第2部の各規格で製品の種類に応じた要求事項を定める構成です。

実際に製品の安全性を評価するときは、共通要求事項と、その製品に該当する個別要求事項を組み合わせて確認します。[1][2]

「IEC 60335-1:2020」の2020は何?

規格番号の後ろに「:2020」のような数字が付くこともあります。

IEC 60335-1:2020

この表示は、次のように読み取れます。

表示意味
IEC国際電気標準会議の規格
60335家庭用電気機器などの安全規格シリーズ
-1第1部(一般要求事項)
:20202020年に発行された版

IEC規格は、技術の進歩や安全要求事項の見直しによって改訂されます。

同じ規格番号でも、発行年や版が異なる場合があります。

IEC 60335-1では、2020年版に対して2025年に追補が発行されています。

追補とは、既存の規格に内容を追加したり、変更したりする文書です。[5]

規格番号に加えて発行年や改訂情報を確認すると、どの内容を対象としているかが分かります。


IEC規格を公式サイトで調べる方法

IEC規格の正式名称や内容は、IECの公式サイトで確認できます。

規格番号が分かれば、発行年や版、改訂情報なども調べられます。

IEC公式サイトで検索する手順

① IECの規格検索サイトを開く

IEC公式規格検索サイト(IEC Webstore)

② 調べたい規格番号を入力する

検索欄に「IEC 60529」などの規格番号を入力します。

検索結果には、規格本体のほか、追補や改訂内容をまとめた版などが表示されることがあります。

③ 規格の詳細ページを確認する

検索結果から規格を選ぶと、正式名称や概要、発行年などを確認できます。

IEC 60529の公式ページでは、次の情報を確認できます。

  • 正式名称:Degrees of protection provided by enclosures (IP Code)
  • 規格の対象:電気機器の外装による保護等級
  • 発行年:1989年
  • 版:第2版

IEC 60529には、その後に発行された追補もあります。

追補を反映した統合版は、IEC 60529の統合版ページで確認できます。[3]

規格のどこを確認すればよい?

IEC公式サイトでは、主に次の項目を確認します。

項目確認する内容
Title(規格名)何について定めた規格か
Scope(適用範囲)どのような製品や用途を対象にしているか
Publication date(発行日)いつ発行された規格か
Edition(版)どの版の規格か
Amendment(追補)どのような追加・変更があるか

特に重要なのが、Scope(適用範囲)です。

規格には対象となる製品や使用条件が定められています。

たとえば、IEC 60529は、電気機器の外装による保護等級を扱う規格です。

規格名だけでなく適用範囲まで確認すると、その規格が何を対象にしているのかを把握できます。

IEC公式サイトでは、規格の概要や一部のプレビュー情報を無料で確認できます。

規格本文の全文を入手する場合は、通常、購入が必要です。


製品がIEC規格に適合しているか確認する方法

IEC公式サイトでは、規格そのものの内容を調べられます。

実際の製品がその規格に適合しているかは、メーカーが公開している資料などで確認します。

主な確認先は次のとおりです。

  • 製品仕様書
  • 取扱説明書
  • メーカーの製品ページ
  • 試験成績書
  • 適合宣言書や認証書

製品によっては、本体に規格番号が表示されている場合もあります。

「IEC 60529」と書かれていれば防水?

IEC 60529は、外装による保護等級を定めた規格です。

製品の防じん・防水性能を調べるときは、規格番号に加えて、具体的なIP等級を確認します。

たとえば「IP67」は、防じん・防水に関する保護等級です。

「IEC 60529」という番号は評価の基準となる規格を示し、「IP67」は製品の保護性能を示しています。

実際にどの程度の水や粉じんに対応できるかは、IP等級と、その試験条件から確認できます。

規格の版も確認する

製品仕様書に「IEC 60335-1:2020に適合」と書かれている場合は、2020年版を対象とした適合表示であることが分かります。

IEC規格は改訂されるため、製品がどの版に対応しているかも重要です。

確認したい製品の型番、規格番号、発行年や版を照合すると、適合表示の対象をより正確に把握できます。


IEC規格への適合と認証の違い

製品資料には、「IEC規格に適合」「IEC規格に基づく試験済み」「第三者認証取得」といった表示があります。

これらは、製品について確認した内容や、確認した主体が異なります。

IEC規格に適合とは?

IEC規格への適合とは、その規格で定められた要求事項を満たしていることです。

メーカーが試験結果などをもとに適合性を判断し、その内容を宣言する方法があります。

このような宣言は「適合宣言」と呼ばれます。

適合宣言書には、対象となる製品や規格番号などが記載されます。

第三者認証とは?

第三者認証は、メーカーとは独立した認証機関が、決められた手続きに従って製品の適合性を評価し、証明する仕組みです。

電気・電子機器の分野には、IEC規格に基づく試験結果や証明書を各国の認証機関で活用する「IECEE CB制度」があります。

CB制度では、参加する認証機関や試験所が試験を実施し、CB証明書や試験レポートを発行します。[6]

製品の認証情報を確認するときは、認証機関名や証明書の対象製品、適用された規格などを見ます。

「適合」「試験済み」「認証取得」の見方

表示確認する内容
IEC規格に適合どの規格・版の要求事項を満たすと示しているか
IEC規格に基づく試験済みどの項目を、どの条件で試験したか
第三者認証取得どの認証機関が、何を対象に認証したか

「IEC規格に基づく試験済み」は、指定された試験を実施したことを示す表示です。

規格全体への適合性を判断する際は、試験範囲や評価結果まで確認します。

規格への適合、試験の実施、第三者認証は、それぞれ確認する内容が異なります。

製品資料では、どの規格を対象に、誰が、どのような方法で確認したのかを見ることが重要です。


IEC規格と日本の法律の関係

ここまで説明したIEC規格への適合や第三者認証は、製品の安全性や性能を確認するための仕組みです。

日本国内で製品を販売する場合には、これらの技術的な評価に加えて、国内法令で定められた条件を確認する必要があります。

電気製品に関係する代表的な法律が、電気用品安全法です。

電気用品安全法とは?

電気用品安全法は、電気用品による感電や火災などの危険を防ぐための法律です。

この法律では、対象となる電気用品を製造・輸入する事業者に対して、技術基準への適合確認や検査などを義務付けています。

製造・輸入事業者は、対象製品について主に次のような対応を行います。

  1. 事業に必要な届出を行う
  2. 国が定める技術基準への適合を確認する
  3. 所定の検査を実施し、検査記録を保存する
  4. 必要な手続きを終えた製品にPSEマークなどを表示する

さらに、特定電気用品に分類される製品では、登録検査機関による適合性検査も必要です。[7]

IEC規格とPSEマークはどう違う?

IEC規格は、電気製品などの安全性や性能について定めた国際的な技術基準です。

PSEマークは、電気用品安全法に基づき、対象となる製品について製造・輸入事業者が必要な義務を果たしたことを示す表示です。

項目役割
IEC規格製品の安全性や性能などに関する国際的な技術基準
PSEマーク日本の電気用品安全法に基づく表示

IEC規格をもとにした技術基準が、日本の電気用品安全法で利用される場合もあります。

製品を国内で販売する際は、電気用品安全法の対象品目かどうかを確認し、対象となる製品について必要な手続きを行います。

IEC規格への適合状況と、PSE表示に必要な法令上の対応を、それぞれ確認することが重要です。

海外製品を日本で使う場合

海外製品を日本国内で使うときは、製品の安全性や電源仕様も確認します。

主な確認項目は次のとおりです。

  • 対応電圧(100Vなど)
  • 対応周波数(50Hz・60Hz)
  • 電源プラグの形状
  • 接地(アース)の条件
  • メーカーが指定する使用環境や安全上の注意

海外製品の仕様書にIEC規格が記載されている場合は、その規格番号や適合内容を確認します。

さらに、日本の電源環境に対応しているか、国内で求められる法令上の条件は何かを調べることで、安全性や使用条件を具体的に判断できます。


まとめ

IEC規格は、電気・電子分野の安全性や性能、試験方法などについて定められた国際規格です。

「IEC 60335」「IEC 60529」のように番号が付けられており、番号によって扱う内容が分かります。

「IEC 60335-1:2020」のような表示では、規格シリーズ、パート番号、発行年を読み取れます。

IEC公式サイトでは、規格の正式名称や適用範囲、版、改訂情報を確認できます。

製品の適合状況を調べるときは、メーカーの仕様書や適合宣言書、試験成績書、認証書などが確認資料になります。

IEC規格は技術的な基準、認証は適合性を証明する仕組み、PSEマークは日本の電気用品安全法に基づく表示です。

それぞれの役割を理解しておくと、製品に記載された規格番号や認証情報を正しく読み取れるようになります。


参考資料

[1]IEC|IEC 60335-1:2020(家庭用電気機器などの安全・一般要求事項)
IEC 60335シリーズの一般要求事項、パート番号、版の情報を確認。

[2]IEC|IEC 60335-2-24:2025(冷蔵庫・製氷機などの個別要求事項)
IEC 60335シリーズにおける個別要求事項の構成を確認。

[3]IEC|IEC 60529 統合版(IPコード)
外装による保護等級、追補を反映した統合版の情報を確認。

[4]IEC|IEC 61000-4-2:2025(静電気放電イミュニティ試験)
IEC 61000シリーズにおける規格番号と試験内容を確認。

[5]IEC|IEC 60335-1:2020/AMD1:2025(追補1)
IEC規格の追補と改訂情報を確認。

[6]日本品質保証機構(JQA)|IECEE CB証明の概要
IEC規格に基づく試験、CB証明書、第三者による適合性評価の仕組みを確認。

[7]経済産業省 中部経済産業局|電気用品安全法
電気用品安全法の対象、技術基準適合義務、検査、PSE表示などを確認。


関連用語

-規格・基準・法律