「ISO 9001」「ISO 14001」など、
企業のホームページや製品資料でISOという言葉を見かけることがあります。
ISO規格は、製品やサービス、仕事の進め方などについて、
国際的に共通して使える基準を定めた規格です。
一方で、「ISO認証」はISO規格そのものとは意味が異なります。
この記事では、ISO規格とは何か、どのような種類があるのか、
ISO認証との違いも含めてわかりやすく解説します。
ISO規格とは
ISO規格とは、国際的に共通して使えるように定められた国際規格です。
ISO(国際標準化機構)が、各国の標準化機関や専門家などの参加によって策定しています。
身近な例では、普段使われているA4用紙のサイズがあります。
A4を含むAシリーズの用紙サイズは、ISO 216で規定されています。
このように、国や企業が違っても同じ基準で扱えるように、
製品の寸法や性能、試験方法、サービスなど、さまざまな分野でISO規格が作られています。
また、ISO規格には製品に関するものだけでなく、
品質管理や環境管理、情報セキュリティなど、企業や組織の管理の仕組みに関する規格もあります。
ISO規格にはどんな種類がある?
ISO規格には、製品の仕様を定めるものから、
企業や組織の管理の仕組みに関するものまで、さまざまな種類があります。
代表的なものには、次のような規格があります。
| 規格 | 主な内容 |
|---|---|
| ISO 9001 | 品質マネジメント |
| ISO 14001 | 環境マネジメント |
| ISO 45001 | 労働安全衛生マネジメント |
| ISO/IEC 27001 | 情報セキュリティマネジメント |
| ISO 22000 | 食品安全マネジメント |
| ISO 50001 | エネルギーマネジメント |
このほかにも、製品の寸法や性能、試験方法、用語、サービスなど、
幅広い分野について国際的な基準が定められています。
そのため、「ISO規格」という言葉が、
企業の品質管理に関する規格だけを指しているわけではありません。
身近なところで使われているISO規格
ISO規格は、企業の品質管理や認証だけに使われているものではありません。
普段の生活や仕事で使っているものにも、
国や地域が違っても共通して扱えるようにするためのISO規格があります。
代表的な例は、次のとおりです。
| 身近な例 | 規格 | 主な内容 |
|---|---|---|
| A4などの用紙サイズ | ISO 216 | A・Bシリーズの用紙寸法 |
| 日付の表記 | ISO 8601-1 | YYYY-MM-DD など、情報交換で使う日付・時刻の表し方 |
| クレジットカードなどのカード | ISO/IEC 7810 | 識別カードの寸法や物理的特性 |
| 海上輸送コンテナ | ISO 668 | コンテナの分類や外形寸法など |
たとえば日付は、国によって
「月/日/年」「日/月/年」など表記の順番が異なります。
そこでISO 8601-1では、情報交換で日付を誤解しないように、
年・月・日の順で表す YYYY-MM-DD という共通の表記方法が定められています。
A4用紙やカード、コンテナなども同じように、
国が違っても同じ基準で扱えるように規格が定められています。
このようにISO規格は、世界で同じ基準を使うための共通の「ものさし」として、
身近なところでも使われています。
ISO規格とISO認証の違い
ISO規格とISO認証は、同じものではありません。
ISO規格は、製品やサービス、管理の仕組みなどについて定められた国際規格そのものです。
一方、ISO認証は、認証の対象となるISO規格について、
組織などが規格の要求事項を満たしているかを第三者の認証機関が審査し、
適合していることを証明するものです。
たとえばISO 9001は品質マネジメントシステムの規格で、
ISO 9001認証は、その要求事項に組織の仕組みが適合していることを認証機関が確認したものです。
なお、ISO自身が企業や組織を認証したり、認証書を発行したりするわけではありません。
認証はISOとは別の認証機関が行います[1]。
また、すべてのISO規格が認証を目的としているわけではなく、
認証ではなく指針として利用する規格もあります。
なぜ企業はISO認証を取得するの?
ISO認証を取得する理由の一つは、
自社の管理の仕組みが一定の国際規格に適合していることを、
第三者に確認してもらうためです。
たとえばISO 9001は、製品やサービスの品質を安定させるための
「品質マネジメントシステム」について定めた規格です。
具体的には、次のような管理の仕組みが含まれます。
- 顧客が求める仕様や条件を確認し、業務に反映する
- 必要な知識や技能を持った人が業務を行えるようにする
- 業務に必要な手順や記録などを管理する
- 製品やサービスを提供する工程を管理する
- 結果を確認・測定し、問題がないか評価する
- 問題やクレームなどがあれば原因を確認し、改善につなげる
つまり、単に「品質に気を付けています」と宣言するのではなく、
品質を安定させるための仕組みを作り、実際に運用し、
結果を確認して改善していくことが求められます[2]。
ISO 9001認証を取得するときは、
こうした仕組みが規格の要求事項に適合しているかを
第三者の認証機関が審査します。
適合していると認められればISO 9001の認証を取得でき、
企業サイトや名刺などで「ISO 9001認証取得」と表示できるようになります。
企業が費用をかけて認証を取得するのは、
社内の品質管理に役立てるだけでなく、
- 取引先に品質管理体制を示す
- 新しい取引先からの信頼を得る
- 発注先や仕入先を選ぶ際の判断材料にしてもらう
- 取引や入札などで求められる条件に対応する
といった目的もあります。
つまりISO 9001認証は、
「この会社の商品は必ず高品質」という保証ではなく、
品質を管理する仕組みがISO 9001の要求事項に適合していることを、
第三者が確認した証明です。
また、一度認証を取得すれば永久に有効というものではありません。
取得後も審査を受けながら、
品質管理の仕組みを継続して運用していく必要があります。
ISO認証のマークとISOロゴは別のもの
ISO認証を取得した企業などで見かける認証マークは、
ISOが発行している共通の認証マークではありません。
認証を行うのはISOではなく第三者の認証機関であり、
認証マークを使用する場合も、
認証機関が定めるルールに従います。
一方、ISO公式ロゴは
ISOそのものを表すロゴで、
ISO認証を取得したことを示すために
企業が自由に使用できるものではありません。
実際の認証マークは、認証機関によって異なります。
たとえば、JQA(日本品質保証機構)の登録マークでは、
認証を受けた組織が使用できるマークや
表示方法を確認できます。
名刺や企業サイトなどで「ISO 9001認証取得」と表示されている場合も、
ISOそのものから認証を受けたという意味ではなく、
第三者の認証機関による認証を受けたことを示しています。
そのため、ISO公式ロゴと認証機関の認証マークは、
別のものとして確認する必要があります。
ISO規格の番号は何を表している?
「ISO 9001」「ISO 14001」などの数字は、
それぞれの規格を識別するための番号です。
数字が大きいほど基準が厳しい、
性能や信頼性が高いといった意味ではありません。
また、「ISO 9001:2026」のように、
規格番号の後ろに年が付いている場合は、その版が発行された年を表します。
同じ規格でも改訂されることがあるため、
確認するときは規格番号だけでなく、必要に応じて年版も確認します。
まとめ
ISO規格は、製品やサービス、管理の仕組みなどについて、
国際的に共通して使える基準を定めた規格です。
A4用紙のサイズや日付の表記など身近なものから、
品質・環境・情報セキュリティなど、
企業の管理の仕組みまで幅広い分野で使われています。
ISO認証はISO規格そのものではなく、
組織の仕組みが対象となるISO規格の要求事項に適合していることを、
第三者の認証機関が確認したものです。
ISO自身が認証を行うわけではなく、
認証マークとISO公式ロゴも別のものです。
出典・参考資料
[1]ISO「Certification」
ISO認証の意味、ISO自身は認証や認証書の発行を行わず、
第三者の認証機関が認証を行うことの確認に使用。
[2]ISO 9001:2026「Quality management systems — Requirements」
ISO 9001の要求事項、品質マネジメントシステムで扱う主な内容、
認証を取得する意味や企業にとっての利点を確認するために使用。