Wi-Fiや有線LANなどの仕様を見ると、
「IEEE 802.11」「IEEE 802.3」のような表記を見かけることがあります。
「IEEE」は、電気・電子・通信などの分野で
技術規格の作成などを行っている組織です。
この記事では、IEEE規格とは何なのか、
どのような内容を定めているのか、代表的な規格には何があるのかをわかりやすく解説します。
IEEE規格とは
IEEE規格とは、IEEEの標準化活動を担う
「IEEE Standards Association(IEEE SA)」を通じて作られる
技術規格です。[1]
身近な例では、無線LANに関係する「IEEE 802.11」や、
有線LANに関係する「IEEE 802.3」などがあります。
つまりIEEE規格は、
機器や技術を共通のルールで設計・利用するための基準として使われています。
IEEE規格では何が定められている?
IEEE規格で定められる内容は、
通信方式やデータのやり取りだけではありません。
IEEEの規格には、技術に関する用語や定義、
測定・試験方法、機器やシステムの性能、安全に関する要求など、
さまざまな内容があります。[2]
規格ごとに対象は異なりますが、
機器や技術を共通のルールで設計・利用するための基準が定められています。
たとえば「IEEE 802.11」では、
無線LANで機器同士が通信するための
通信の制御方法や信号に関する仕様が定められています。[3]
代表的なIEEE規格
IEEE規格には、通信に関するものだけでなく、
コンピューターの演算などを対象とした規格もあります。
代表的なものには、次のような規格があります。
- IEEE 802.11:無線LANの通信方式などを定めた規格[3]
- IEEE 802.3:Ethernet(有線LAN)の仕様を定めた規格[4]
- IEEE 754:コンピューターで小数などを扱う浮動小数点演算の規格[5]
このように「IEEE」の後ろに付く番号によって、
対象となる技術や定められている内容が異なります。
IEEE規格はどこで確認できる?
製品がどのIEEE規格に対応しているかは、
主に製品の仕様情報を見れば確認できます。
確認しやすいのは、次のような場所です。
- 製品仕様書
- 取扱説明書
- メーカー公式サイト
- 製品パッケージ
たとえば無線LAN対応機器では、
「IEEE 802.11ax」「IEEE 802.11ac」のように
対応しているIEEE規格が仕様欄に記載されていることがあります。
この「ax」や「ac」などの末尾の文字は、
IEEE 802.11の中で異なる仕様や世代を区別するためのものです。
IEEE規格への対応は、製品に共通のマークが表示されるとは限らないため、
規格番号や対応規格の記載を確認するのが基本です。
IEEE規格は法律や認証制度ではない
IEEE規格は、法律や法規制そのものではありません。
IEEEは、IEEE規格の利用は任意であり、
規格に適合していることが法律や規制への適合を意味するものではないとしています。[6]
そのため、IEEE規格に対応しているからといって、
その製品の安全性や法的な適合まで保証されるわけではありません。
製品を実際に販売・使用するときは、IEEE規格とは別に、
その国や地域で適用される法律や規制を確認する必要があります。
IEEE規格に対応していると何が分かる?
製品にIEEE規格の番号が書かれていれば、
その製品がどの通信規格や技術仕様に対応しているかを確認できます。
たとえば「IEEE 802.11ax」は、
Wi-Fi 6に使われる無線LAN規格です。
そのため、ルーターやスマートフォンの仕様に
「IEEE 802.11ax」と書かれていれば、
その機器がWi-Fi 6に対応していることが分かります。
同じように「IEEE 802.11ac」であれば、
Wi-Fi 5に対応していることが分かります。
ただし、同じIEEE規格に対応していても、
通信速度や利用できる機能などがすべて同じになるわけではありません。
実際の性能や使える機能については、
IEEE規格の番号だけでなく、製品ごとの仕様も確認する必要があります。
IEEE規格とWi-Fiの関係
Wi-Fiは、IEEE 802.11シリーズをもとにした
無線LAN技術の名称です。[3]
たとえば、
- IEEE 802.11ac → Wi-Fi 5
- IEEE 802.11ax → Wi-Fi 6
- IEEE 802.11be → Wi-Fi 7
のように、一般の製品では
分かりやすい世代名で表示されることがあります。
IEEEが技術規格を定める一方で、
「Wi-Fi」や「Wi-Fi 6」などの名称は、
Wi-Fi Allianceが用いている名称です。
そのため、IEEE 802.11とWi-Fiは
別々の通信方式ではありません。
IEEE 802.11をもとに、Wi-Fi Allianceが
Wi-Fi 5・Wi-Fi 6・Wi-Fi 7などの名称を用いている関係
で見ると分かりやすいです。
IEEE規格への対応と認証は同じではない
製品に「IEEE 802.11ax」などと書かれていても、
IEEEがその製品を個別に認証したという意味ではありません。
これは、その製品が対応するIEEE規格を示す表示です。
一方、IEEEには製品やサービスが一定の要求に適合していることを確認する
認証プログラムがあり、認証されたものには
「IEEE Certification Mark」が使用される場合があります。[7]
そのため、IEEE規格への対応とIEEEによる認証は別のものとして見る必要があります。
まとめ
IEEE規格は、IEEEが電気・電子・通信などの分野で作っている
技術規格です。
無線LANの「IEEE 802.11」や、
有線LANの「IEEE 802.3」など、さまざまな規格があります。
製品では、仕様書や取扱説明書などに記載された
IEEE規格番号を見ることで、対応している技術や通信規格を確認できます。
また、IEEE規格への対応は、
法律への適合やIEEEによる製品認証を意味するものではありません。
製品を見るときは、
IEEE規格番号と製品ごとの仕様をあわせて確認することが大切です。
参考資料・出典
[1]IEEE Standards Association「About IEEE Standards Association」
[2]IEEE Standards Association「IEEE SA Standards Board Bylaws – Clauses 1–3」
[3]IEEE Standards Association「The Evolution of Wi-Fi Technology and Standards」
[4]IEEE Standards Association「IEEE 802.3-2022 - IEEE Standard for Ethernet」
[5]IEEE Standards Association「IEEE 754-2019 - IEEE Standard for Floating-Point Arithmetic」
[6]IEEE Standards Association「Document Notices & Disclaimers」
[7]IEEE Standards Association「The IEEE Certification Mark」